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腎機能と運動

Medical Tribune(2011.1.13)にはわたしの興味を引いた記事がもうひとつありました。
第21回日本臨床スポーツ医学会(http://www.rinspo.jp/)の報告のページにあった『~腎機能障害者~運動は予後改善に有用』という記事です。

仙台社会保険病院高血圧・糖尿病内科の金澤雅之主任部長の報告です。たしかに腎機能障害の方、とくに透析患者さんにいたってはほとんど運動をしていません。腎機能障害者の体力が予測値の60~70%しかないというのも理解できますし、そのまま要介護状態になることも容易に想像できます。実はわたしは、腎機能が悪いひと(とくに透析者ならなおのこと)が運動すると腎機能をさらに悪化させるのではないか、と何となくそう思っていました。わたしのような医療者ですらそう思うのですから、世間の皆さんはもっと思っていたかもしれません。金澤先生は外来で維持透析を受けている慢性腎不全の患者さんに運動を促し(なんと自宅では続けてやりたがらないので透析中に下肢エルゴメーターをこがせたりしたというからなかなかアグレッシブ)、筋肉量や骨量が増えただけでなく腎機能や予後リスクまで改善したことを示したのです。

QOLの改善や精神心理学的なメリットだけでなく、実際に予後が改善する因子になるのだとすると、これはたしかに心臓リハビリと同レベルの画期的な事実だと云う気がします。ただし心臓リハビリと同様、やり方がまずいと逆効果になる危険性もはらんでいるように思いますので、早く系統だった腎機能障害者のスポーツ参加に関するガイドラインを作り出していただきたいものです。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

 個人的には「家事労働」がいちばんいい運動だと思うのですが。自然分娩で有名な吉村医院も昔の日本の家事労働を妊婦さんにやらせてるはず。たしかに内臓に負担を掛けずに全身を使えます。
 「筋量」とか測定可能な数値って、評価をする医療者側の都合によるものだと感じてます。
 
 世の中便利になり過ぎたせいかでしょうか。昔の人は取り立てて「運動」だの「ダイエット」だの考えなかったはずですよ。「運動」そのものが「生活する」ことでしたから。

 できるだけリモコンを使わないようにする、とかそんな小さなことからでも身体を使って、意識が変わっていけば、大分違うと思うんですけどね。

投稿: コン | 2011年1月22日 (土) 20時54分

コンさん

同感ですが、もともと人間には「運動欲」がない、という真理があります。「人間はしなくていいことはしない」・・・便利になった今の世の中で「カラダを動かす」ことをするためには、残念ながら意思を持って何かをしないとむずかしいようですね。運動するというのは、日々ムダに動け!ということでしょうか。

投稿: ジャイ | 2011年1月23日 (日) 01時04分

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