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異常値

「ここの異常値ですけど・・・。」
「ああそれはずっと前からです。もう若い時からいつもH(high)の印が付いています。体質だろうと云われています。」

健診結果を説明する時に、話の腰を折ってこういう返答で総括しようとする人がいます。きっとずっと前から同じ検査値に同じような説明を受けてきているのでしょう。ただ、「体質だろう」では終われないものは多々あります。悪玉(LDL)コレステロール高値の男性や高血圧症・高尿酸血症など、「体質なら、早いうちに内服するしか手がないよ」と思うようなものもあります。これまでずっと同様だったのに、「運動と食事と酒に注意しましょう」としか云われてこなかったとしたら、それは医療者の怠慢です。毎年云われているのだから、本人はそれなりに生活療法を頑張っているはずだから、もうそれ以上修行僧の道を極めさせる指示をしてもムダだし酷というものです。かといって、やっても良くならないのが「体質」というものだから、しょうがありませんという理論は江戸時代までの概念。やっぱり、さっさと観念させて病院受診を強く勧めていただきたい。

少々話が脱線しました。健診の現場では、得られた検査値が高いか低いか、異常か異常でないか、を評価しているのではありません(そう思っている医者や保健師さんはナンセンス極まりない)。悪化してきているか、改善してきているかを評価しているのです。残念ながら機械は変化の有無やその変化に意味のあるものかどうかの評価が苦手です。1年間の取り組みでもの凄く改善していてもまだまだ正常にほど遠ければ酷な判定をします。そんなときに成果を褒めながらその機械判定に手心を加えて修正するのが健診医の仕事です。世の中には「だんだん正常に近付いている異常と、だんだん異常に近付いている正常があり、後者は判定が良くても要注意なのだ」ということもしっかりと説明してあげてほしいと思います。

健診結果の説明に10分以上費やせる理由がわからない!と云っていた○○先生、わかりました?

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