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26ショック

今年の九州予防医学研究会は沖縄で開催されました。わたしは生まれて初めての沖縄上陸で少しばかりウキウキしました。

沖縄は、2000年(平成12年)にいわゆる「26ショック」あるいは「沖縄クライシス」と呼ばれる大きな事件がありました。この年、沖縄県男性の平均寿命が初めて1位から26位に転落したのです。65歳以上の世代では今でもダントツ一位なのに、50歳台から下の世代で明らかに生活習慣病とメタボが急増しているという事実。子どもの頃からアメリカ型のライフスタイルに触れた世代は、もはや「沖縄」ではなく本土と同じ(むしろもっとアメリカナイズされた)状況だと云わざるを得ません。

沖縄県民の男性2人に1人は肥満です。「小太りの方が長生きだ」という理論の裏付けにされてきた沖縄・・・「沖縄では多くが太っているのに長寿で健康だ!だから無理してやせるべきではない!」という主張の根拠になってきました。ところがその一方で、「沖縄の男性は太ってメタボ体形ばかりになった。だから平均寿命が26位に転落したのだ!」と、現場の学者さんたちは危機感を抱いている様子です。統計学というものはその解釈と利用の仕方次第でまったく逆のデータの根拠にされるので要注意です。

沖縄の伝統的食事が健康長寿の根拠であることは周知の事実です。それがいいことだとは分かっていてもアメリカ食に慣れた若者の舌がその伝統文化継承に動くことはできるのだろうか?その懸念を懇親会の席で聞いてみました。忙しい生活の中で伝統食をきちんと作るのは難しいけれどせめて学校給食ではそんな献立を模索しているとの答えでした。「26ショック」・・・色めき立って慌てているのは医療者や学者たちだけで、現地の若者たちは日本本土の若者たち同様に、青春を謳歌しているように見えました。

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