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バカらしくてやってられない?

『冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン』の策定にあたって中心になられた東京医大の山科章先生の講演を聴きました(第36回 New Town Conference)。

冠動脈(心筋を栄養する血管)病変の評価をするモダリティは、ここ5年あまりで驚異的に様変わりしました。心臓CT検査が爆発的に増加し、我らが心臓核医学はほぼ横ばい、もう少し減るかと思われた心臓カテーテル検査も横ばい。そんな中でトレッドミル検査(運動負荷心電図検査)だけが急激に減っています。座長が心配したのと同じ懸念をわたしも抱きました。なぜ?運動負荷心電図検査は循環器の世界では基本中の基本の検査・・・何はなくともとりあえず運動負荷!のはずではなかったのか?

その理由について、山科先生はいとも簡単に答えました。「おそらく、時間と手間がかかる割には保険点数が低すぎるからです。毎日多数の患者がいて、大忙しの診療の中で時間もないので、どうせするなら少しでも報われる心臓核医学検査や心臓CTを選ぶのだろう。」・・・座長は即座に首を振って苦笑いをしました。これまたわたしと同感だったのでしょう。何ということだろう?たしかに運動負荷心電図検査の病変診断能は他の近代的なモダリティに比べると決して優れてはいませんが、でもやはりこれは基本。これをまず行うことで高価な検査をしないで済むかもしれない。患者さんにとってこんなありがたいことはないのに・・・”安いからしない”、なんて?

何かが壊れてきているような気がします。聴診器を持たない循環器科医やお腹の診察をしない消化器科医と似た違和感がわたしを襲いました。人間ドックで全員に行っている運動負荷心電図検査は無駄だから止めてはどうか?と提案しようと思っていたのですが、むしろ貴重なのかもしれない、と思いなおしつつあります。

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