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納豆を食べられるワーファリン?

「先生、納豆を食べられるワーファリンがあるんですか?わたしの従弟もわたしと同じような薬なのにわたしと違って納豆を食べても良いらしいのです。そのことをわたしの主治医に聞いたら、『そんなものはない』と云うのです。」・・・わたしにそんな相談をした高齢の女性は、弁膜症に対して人工弁置換術を受けたのでワーファリン管理を余儀なくされています。ビタミンKの拮抗剤であるワーファリンは、納豆を食べるとほとんど抗凝固効果が落ちてしまうために、基本的には納豆禁です。

そんな抗凝固療法の世界に新しい時代が来ようとしています。凝固系に作用する新しい薬(Xa阻害薬、トロンビン阻害薬)が国外ではすでに採用され始めており、これだと納豆の心配だけでなく煩わしい採血検査や量の微調節も要らないようです。残念ながら日本採用はまだまだ先だと思われますので、今は一般病院では処方されない、というのが正解です。

ただ、話を良く聞いてみると彼女の従弟が云うのはどうもこの新薬のことではないようです。現在一般診療で使われている抗凝固剤にはワーファリンやヘパリンとは別に、アスピリン系や抗血小板薬(シロスタゾール、チクロピジン)があります。これらはワーファリンとは作用機序がまったく違いますのでもちろん納豆を食べても何の支障もありません。むしろ納豆は血液をサラサラさせるので奨励すべき食材ということになります。脳塞栓予防にはワーファリンだけれど脳血栓予防にはチクロピジンやアスピリンの方が有効だとか、この辺はちょっと複雑なので省略しますが、要するに、この女性とその従弟さんとはまったく違う薬を飲んでいることになります。そして機械弁置換術後のこの女性は今のところワーファリンでなければならないので、やはり大好きな納豆は当分食べられません。もっとも、どうしても納豆を食べたいときは毎日同じ量の納豆をきちんと食べた上で大量のワーファリンを服用する、という掟破りの方法もありますけれど・・・。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

トロンビン阻害剤
外科医としては待ち遠しい
術前1~2日のオフで手術可能だし
コントロールも容易

m3.comでもアナウンスされていたので
そう遠くない時期に
使用可能となるかもしれませんね

投稿: hanamegane | 2011年2月12日 (土) 09時11分

hanameganeさん
 
わたしもm3.com読みました。医療を与える側も受ける側も福音になると良いですね。ただ、やはり凝固系に影響を与える薬剤というのはもともと本来のあるべき姿と違うことを強要させるものなので、何か起きないかちょっと心配でもあります。

投稿: ジャイ | 2011年2月12日 (土) 23時32分

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