「理想的な心血管の健康」
米国心臓病協会(AHA)が「2020インパクトゴール」というのを発表しました。全米国人の心血管の健康度を20%改善させ、心血管疾患と脳卒中による死亡を20%減らす、という目標設定です。日本にも「健康日本21」という同じような目標設定がありますがご存知でしょうか(中間発表であまりにも理想からかけ離れていたのであわてて強力な介入を始めたのが今の特定健診・特定保健指導です)。
その中でAHAが提唱した「理想的な心血管の健康」という概念は、昔で云えば「Breslowの7つの健康習慣(1972年)」みたいなものでしょうか。
<理想的な健康行動(4項目)>
(1)非喫煙
(2)BMI<25
(3)目標レベルの身体活動(非常に活発)
(4)ガイドライン推奨に合致した食事(果物・野菜を3品/日以上)
<理想的な健康因子(3項目)>
(5)未治療の総コレステロール<200mg/dL
(6)未治療で血圧<120/80mmHg
(7)未治療で空腹時血糖<100mg/dL
先日のMT Proに載った米国からの報告(Circulation 2010;121:586-613)は、地域住民1933人中、理想的な健康行動(4項目)すべて合致が39人、理想的な健康因子(3項目)すべて合致が27人、そして7項目全部を満たした人は1人しか居なかった、というものです。自発的な参加型の研究なだけに、登録者は健康志向の高い人が多く含まれていることを期待したにもかかわらずこんなものだった、というのは、これこそが今のアメリカ(日本も似たようなものでしょうが)の現状なのでしょう。一般住民の「健康」に対する考えが甘いか、提唱された「健康」の概念が厳しすぎるか・・・。
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