治療について考えること(後)
医師は、目の前の症状を何とか治してあげたい、改善させたいと必死になって、そのために処方するくすりを自然と上乗せしていきます。飲んでいても悪化するなら違う機序のくすりを足していきます。ところが、命綱のように大事にしていた、もし止めたら途端に大変なことになると自他共に思い込んでいたくすりを不可抗力で止めてしまったとき・・・時限爆弾は爆発するでもなく、むしろ前よりはるかに調子良くなることがある、ということを多くの医師は経験として承知しています。結果として、良くするために使っていたくすりが悪化に一役買っていたということです。
「薬物は毒物」・・・本来カラダの中に存在しないものが入ればそれを排除する力が生じるのは至極当然です。クスリの主作用に対して副作用は必ずついて廻りますが、吐き気があったり検査データを悪化させる副作用でもない限り、世間はあまり気にしていないようです。でも「くすりを止めてみたら体調が良くなった」ということは、それが副作用だったことになります。ただ、だからといって「くすりを減らす」という行為には理論的な根拠があるわけではないので多大な勇気が要ります。多くの知識人が自分の経験からあるいは知人の経験から、「今すぐその薬を止めなさい」と指示されることがあり、それが良い結果をもたらすことが少なくないことをわたしは知っています。でも本当にそれが致命傷になることの方が多いことも知っています。
結局はケースバイケースなのでしょう。ただ医療者は、EBMがどうだとか、その機序がどうだとか、そういう理論ですべてを解決させようとせず、代替療法や健康食品を眉唾的奇異な目で決め付けずに、広い大きな目で治療に当たってほしいと切に願います。理屈がどうであれ、自分に納得がいこうがいくまいが、目の前の患者さんが元気な人生を全うできればそれで良いのだから。
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コメント
こんばんは。福島は雪です。
どうも報道を見てますと「医薬品・器材がないと何も出来ない」という医療従事が目に付きます。
「薬に頼らないと健康を維持出来ない患者をつくり続けた」「機械に頼らないと何も出来ない医療従事者」が「砂の器」であることは明らかだと思いますが…(決して現代医学を否定している訳ではありません)。
それと私は自衛官だった頃、中越地震に災害派遣で出動した経験があります。現場の、ホントに末端の人間は全力でやっております。「現場に行かない人間の指揮、私利私欲・保身パフォーマンス」で振り回されながら(笑)。今回被爆された方々が助かりますように。
計画停電は「原発が必要だ」というパフォーマンスにしか見えません(火力・水力で充分まかなえると思います。以前点検で十七基の原発を停止させたとき、停電なんて起きなかったでしょ?)
どうも今回は辛口の書き込みになってしまいました。皆様、御容赦ください(笑)。
ちなみに私が治療を受けているホメオパス(ホメオパシー療法家)から「福島の人たちに無料配布して」と「放射能問題・災害対策用」のレメディーが山ほど届きました。戦闘開始です(笑)。
投稿: コン | 2011年3月25日 (金) 19時18分
コンさん
まさしくこれから。
これは、遠くで毎朝のほほんとしながらほざいているだけの私には何も手助けできません。
よろしくお願いします。
投稿: ジャイ | 2011年3月25日 (金) 21時08分