肉声
元キャンディーズのスーちゃんこと、女優の田中好子さんが自らの告別式で肉声のお別れのあいさつをしました。亡くなられる数週間前に録音したものだそうです。
わたしは、自分の告別式で自分の声でお別れのあいさつをした人をもう一人知っています。スーちゃんのことばを聴きながら、わたしはわたしの一番尊敬する恩師H先生が話された肉声のお別れのあいさつ(「前向きに生きる」2008.5.28)を思い出していました。彼の場合は自らが闘病生活に入る前に、無駄になるかもしれないけれど、という期待にも似た前置きの中で録音した決意表明でした。
でも、田中さんの場合は2月から急激に悪化した闘病の中で、終焉の日を自覚したときに自ら願って声に残したお礼のことばでした。公人だからこそ大多数の皆さんに伝えなければならないという使命感はあったかもしれませんが、でもやはりそれだけでは決してできることではありません。たとえ死を覚悟したとしても、人生を達観したとしても、心静かに人生を見つめられる状態になったとしても、必ずしもこんな肉声メッセージを録音する気になるとは限らないからです。それは、自分がその立場だったらどうするだろうか?と考えてみれば一目瞭然です。
本当に残念です。もっと生きていたかったのだろうなと思います。でも、あの肉声を聴くことによって、わたしたちは一つの区切りができたような気がしました。
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