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健診年齢

「この歳になって、まだ健診を受ける意味はあるのかしら?」・・・当センターの人間ドックを受診された83歳の女性が、診察の途中でわたしにそう云いました。

たしかに老健施設などの寝たきりでコミュニケーションが十分とれない超ご高齢のみなさんの健診結果を判定しながら、「これは意味があるんだろうか?」と疑問に思うことは多々あります。この方々が糖尿病や脂質異常症の所見を呈したからと云って、食事療法や薬物治療を開始する可能性はほぼ皆無でしょう。心電図で不整脈がみられるとか診察で心雑音が聴かれるからといって循環器内科を受診する指示を出したりはしません。法律で決められていることだから施設側もそれを実施して、実施したという証明と健診結果というお墨付きをもらうことで義務を果たした感がある、というのが実体ではないかと思います。正直なところ痛い思いをして血を取られ押さえつけられて心電図やレントゲンを取られるだけのメリットはない、と言い切っても良いように思っています。

ただ、くだんの女性の場合はまったく異なります。たくさんの持病を抱えているとはいえ、杖歩行で膝をかばっているとはいえ、お元気に毎日を前向きに生活しておられる方にとって健診は重要な道しるべになると自負しています。もちろんかかりつけ医がおられるわけだから日常診療の中で必要な検査は受けているでしょうが、どんどん専門化していく医療の弊害として、たとえば10年も胃の検査をしていなかったなどという意外な穴が生じるものです。たまにはそういうチェックを受けて、まだ実年齢は10歳以上若いのだということを確認することは大変大事なことです。・・・とお答えしました。

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