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遮断

人間には、補聴器と同じだけの音を情報として聞き取りながらも、その中から興味のあるものだけを選んで聴く(脳に伝える)能力があります。だから心安らかに生きていけるわけです。

『考えない練習』(小池龍之介著)の中に「聞く」の操り方を記したところがあります。そこに書かれているように、最近、道を歩いたり電車の中の多くの若者が聞いているi-Podなどは、自分の脳を刺激してくれる大好きな音楽以外の雑音を物理的に完全に遮断する防御壁となってくれます。ずっと気になっていたのですが、人間が無意識のうちに音を取捨選択できる能力があるというのは、それが勝手に聞こえてくるのではなく、意図的に聴こうとする意識を持つからできることです。そうやって日ごろから集中する訓練を勝手にしているからこそ、人の話も集中して聴くことができるのだと思うのです。ところが、家を出てから職場や学校に行くまでの間、物理的に遮断されるに任せて、意識的に聴くという作業のために脳を使わなくなってる現代人は、聴きたくない雑音を除外する能力をどんどん退化させているのではないでしょうか。たしかに好きな音楽でリラクゼーションできて精神集中に良く、スポーツ選手などが高いパフォーマンスを生み出す原動力になるだろうこともよく分かるのですが、仕事の直前までi-Podの環境下に身を任せている人間が、イヤホンを外した途端に大事な音(相手の言葉)や情報とそうでない雑音との区別をきちんとできるとは到底思えないのです。

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