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敬意の観察力

一昨日、第28回人間ドック健診認定医・専門医研修会に行ってきました。もちろん必須単位をもらうのが最大の目的で参加したのですが、この研修会の講師の先生方はただ単にその筋の第一人者というだけでなく、話に切れ味があって分かりやすいので、いつも楽しみにしています。

今回、血液疾患のレクチャーをしていただいた宮川義隆先生(慶応大学血液内科)にちょっと感動しました。レクチャーそのものも程よいトーンと速度で腹いっぱいな内容をきっちり教えていただきましたが、レクチャー後のフロアからの質問がいくつかあったときの先生の答え方が好きでした。「昔血液学をやっていた開業医ですが・・・」「ありがとうございます。血液学の大先輩をここで発見できたことに心から感謝します」・・・この言葉、出ないなあ、わたしには。その前の女医さんの質問にも、「ありがとうございます。先生に出会ったおかげで患者さんの命が救われました。」という言葉から始まりました。

何か仏門に関わる方のような慈しみを感じる光景でした。言葉の力は思いのほか大きなものです。単に質問に答えるだけで何ら問題のない場面で発せられる相手に敬意を表する言葉は、二人の関係だけでなく、それを見守る空気全体を優しくしてくれます。この先生は、いつもしっかりと相手の話を聴きながら、相手のいいところを見つけ出す習慣があるのだろうなと思いました。最前列で質問を繰り返していた方も、話の始まりがいつも細かい謝辞から始まりましたが、社交辞令の接頭語(「興味深いお話をありがとうございました」)ではなく、「時間がないのに鬱陶しい」とは感じない心地良さがありました。こういう方々に診てもらっている患者さん方もきっと優しい人生を送れるのだろうな・・・あこがれます。

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