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庶民の食事

「日本の食事の様子を絵画にしたものは数少ないのですが、この中で描かれているのは、左手にご飯のお茶碗を持って、右手のはしでおかずをつまみながらご飯を食べるという、いわば日本人の食事の原点ともいえる食べ方です。このようにおかずをつまみながらご飯を食べるというスタイルの時代には、糖尿病などの生活習慣病はほとんどありませんでした・・・」

神奈川県立保健福祉大の中村丁次先生が書かれた文章の一部です(「けんこうぶんか」No.45)。たしかに片手にパンを握りながら肉を食う姿はあまり見ないなとか思いながら、何かこの一文が気になったので書き写してみました。中村先生が云われるとおり、江戸時代の庶民の生活や食事はどうだったのかきちんと記録されたものがないので本当のところはわからないのでしょうが、少なくとも長い年月続いた質素な食生活に合うように進化してきた民族なのだから、理屈以上のものがあるような気がします。

もちろん、今の栄養指導では、「おかずを食べるときは持ち上げたご飯茶碗は一旦置きなさい!」と云います。きちんと噛ませるためです。口をもぐもぐさせながら、もう次のおかずを箸で摘んでいる連中は、皆太っているからです。でも、おそらく江戸時代や第二次世界大戦までの日本の庶民の生活では、噛もうが噛むまいが、絶対メタボにはならなかったはずです。当時のようなヨレヨレのたんぱく質と少しの野菜をわずかな玄米で掻き込むしかなかった食生活にあこがれなど全くありませんし、日本人が寿命を延ばして昔より若々しくなったのは、戦後の食生活が劇的に良くなったおかげだということは歴然たる事実です。それでも、歳とともに何となく日本古来の食生活に安心感を覚えるようになるのは、日本国民の遺伝子なのかもしれないななどと思ってしまう今日この頃です。

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