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冠攣縮性狭心症

心臓の筋肉に十分な血液が回らずに胸痛などの症状を起こす「狭心症」には、動脈硬化で冠動脈の内腔が狭くなって起こるものの他に、冠動脈の壁自体のけいれん(スパスムス:攣縮)によって起きるものもあります。そして、日本人の狭心症の4割以上は冠攣縮性狭心症だと云われています。

遠い昔、この冠攣縮性狭心症で人生を翻弄させられた女性患者さんのことを思い出しました。当時、まだ冠攣縮という概念はあまり認知されておらず、早朝や少し疲れた時に胸が詰まる感じの発作が出るようになって病院に行っても、「何も異常はない」「気のせい」「更年期障害」・・・姑さんとの確執の中(きっとこれが大きな誘因なのでしょうが)、家族からは仮病だとか怠け病だと非難され続けてきました。ところが、ある先生が「異型狭心症じゃないか?」と考えてくすりを処方したら発作が出なくなったのです。彼女は晴れて立派な病人として認められました。「あのとき自分が病人であるということを認めてもらって本当に救われました」と、彼女はよく涙を流していました。

それから数年後、徐々に発作の頻度が増し、それに伴って彼女の服用するくすりの量は急激に増えました。それでも発作を抑えられず、外来ではいつも額にしわを寄せて憂鬱そうでした。そんな彼女が狭心症発作から解放されたのは、思わぬことからでした。他の病気で内服自体をすることが突然できなくなったのです。「冠攣縮性狭心症はくすりを切ると返って強い発作が起きる」という常識があり、くすりを切ることはタブーだったのですが・・・。くすりを最低限しか飲めなくなったら、彼女の発作は全く起きなくなりました。多すぎたくすりが発作を助長したことになります。くすりという毒物に対する生体の反応は、とてもデリケートなのだと云うことを知りました。久しぶりに会った彼女の久しぶりにみせた笑い顔が今でもとても印象に残っています。

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