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狭心症

「胸を締めつけるような痛みが明け方に起きることが続いたので近くの病院を受診しました。外来でいろいろ検査をしていただきましたが異常はなく、『狭心症ではない』と診断されました。」・・・先日、健診の診察室で受診者の方がそんな話をしました。

わたしは聞いていて、何か違うな、と思いました。「狭心症」についてWikipediaを検索したら、「狭心症(きょうしんしょう、angina pectoris)とは心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常(動脈硬化、攣縮など)による一過性の心筋の虚血のために胸痛・胸部圧迫感などの発作を起すこと」とありました。でも、今は亡きボスからわたしが教わった定義はそうではありません。「狭心痛(締め付けられるような痛み;絞扼感や圧迫感)が発作的に起きる病気を狭心症という」・・・つまり狭心症は狭心症様の症状を呈する病気の総称であって、冠動脈の異常が云々ということではなかったはずなのです。たとえば、高度の貧血があったり、重症の大動脈弁狭窄症(大動脈の入口の逆流防止弁がほとんど開かない状態)があったりすると、冠動脈に何の異常もないのに心筋に供給される血液(酸素)量が減って狭心症発作を起こすことはあります。

ですから、冒頭の話は、「狭心症のような発作があって病院で検査したら、冠動脈硬化やけいれんによる狭心症ではなさそうだと云われた」というのが正解です。日本心臓財団のホームページには、「心臓の栄養血管である冠動脈の血流が不足することによって、心筋が酸素不足に陥ります。そのために生ずる痛みが『狭心症の痛み』です」と書かれていますので、この定義の方が正しいと思います。

天下のWikipediaの書き方がちょっとショックでした。でもそれが、いまだにカテーテル診断・治療信者ばかりがいる若い循環器内科医たちのコンセンサスなのだろうことの方が、はるかに気になりました。

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