アルコールとHDL
「わたしの主治医が、わたしのHDLコレステロールを上げるために『アルコールを飲みなさい』というので、晩酌習慣はなかったのだけれど最近はビールを週3回くらいは飲むようにしています。本当にこれって効果があるのですか?」・・・うちの受診者のひとりが管理栄養士さんに質問したそうで、その管理栄養士さんからわたしは相談を受けました。「そんなことってあるんですか?」と。「は~?そんなの聞いたこともないよ。どっかの怪しい健康番組で云ってたのかもしれないから、主治医に直接聞くように云ったらどうですか?」と突き放すように答えてはみたものの、何か引っかかるところがあったので早速調べてみました。
そうです。エチルアルコールはHDLコレステロール値を上げるのです。昔、健診の世界に入ってすぐの頃にその事実を知り、脂質異常(当時は「高脂血症」)の講演で自らそう説明していたことを思い出しました。それもわたしの記憶が正しければ、純正のエチルアルコールほど効果が高く、飲めば飲むほど直線的にHDLコレステロール値は高くなるはずです。そんなスライドを持っていましたがどこにやったろう?
ただ、飲みすぎれば肝臓を傷め、血圧を上げますし、さらに前述の受診者さんのようにビールを選択したのでは、それでなくても最近300mg/dl以上に急増した中性脂肪の値をさらに跳ね上げて間接的にHDLコレステロール値を下げることになるから本末転倒です。飲むなら適量(少量)の蒸留酒なのでしょうが、純正エチルアルコールが良いということになると、不純物だらけの乙種ではなくて甲種。酒好きにとって「適量」は”生殺し”ですし、甲種焼酎単独の飲酒なんてほとんど魅力がありません。
つまりは、養命酒を飲むような心得で食前酒として少量の韓国焼酎を飲むのが、低HDLコレステロール血症に対する治療になります。・・・と、説いたらいいのかしら?
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