« やせればいいってもんじゃ、ある? | トップページ | 悟り? »

「やせる」vs「しぼむ」

老若男女を問わず、どうしてそんなに痩せたがるのだろう?

「わあすごい!やせましたね~!えら~い!」という声に、まんざらでもない笑みを湛(たた)えている方々・・・生活習慣病の管理か健康増進の取り組みが功を奏したのだろうことが伺えて、とても嬉しそうです。でも、そんな方々の中に、「やせた」というより「やつれた」という表現の方が似合う方もおられて、ちょっとココロが暗くなります。「強い食事制限をしてデータを良くしたけれどいつもため息ばかりで毎日つらい」と訴える人については本末転倒なので置いておくとして、今回気になっているのはそんな方ではありません。努力の成果にとても満足、”スタイルの良い”カラダになったし、周りからは褒められるしで、鏡を見ながらにんまりしているような方です。首筋にはカサカサの皮膚が垣間見られ、また二の腕は筋肉が削げ落ちて張りのない状態・・・診察しながらちょっと痛々しさを感じることさえあります。

ある年齢層を越えた辺りからはあまり”やせること”に熱中しない方が良い、と云われます。育ち盛りの子の”やせ”が危険であるのと同様に、中年期以降の極端な”やせ”への変換は、単に萎(しぼ)んだだけということになりかねません。世の中がシルエットにばかり注目し、スレンダーボディを理想ともてはやすがための弊害・・・「やせる」ことは良いことだけれど、「やせる」と「しぼむ」はまったく別物であるということも、わたしたち助言者の立場の人間は常に心得ておかなければなりません。

もうひとつ、「太る」と「浮腫(むく)む」の違いにも注意が要ります。体重が1kg増えたので運動や食事制限を頑張ったら返って悪化して入院したなどという笑えない笑い話にもなりかねません。脂肪が1kg増えたと思い込んでいたら1000ccの水分だったということはめずらしくないことですし、それが心不全によるものであれば減量のために頑張ることは明らかに逆効果なのです。

|

« やせればいいってもんじゃ、ある? | トップページ | 悟り? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« やせればいいってもんじゃ、ある? | トップページ | 悟り? »