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執着心

明らかに不器用な人がいます。脳外科医や心臓外科医を目指してとても熱心に技術修得のために頑張っているのだけれど、でも根本的に不器用なのは如何ともしがたく、「そんな細かい作業には向かない」と上司に引導を渡される人は、確かにいます。世のため人のために、やはり他の道に進んだ方が良いと思う人です。

でも、ブラックジャック張りの神の手の持ち主を除くと、月並みな技術の医者が大多数です。わたしもきっとこの部類に入ると思います。そんな集団の中に、とにかく技術修得のためには誰でも彼でも辺り構わず患者さんをかき集めて自分で全てをやってしまいたがる人がいます。なかなか上手くいかなくても自分なりに工夫し、うまくいくまで試行錯誤を繰り返す人。相手は生身の人間なのだから、実験台に使うなんてもってのほか・・・そんな内外の非難・干渉など目もくれずに汗びっしょりになりながら頑張る人たちがいます。心臓カテーテル治療もその代表的な手技ですが、針穴に糸を通すよりも難しいような作業を1時間も2時間も続けてとうとう成功させる人たちの執着心をみていると、敬服せずにはおれません(もちろん患者さんにとっては被曝のしすぎですけど)。わたしのようにすぐにギブアップして「何ごとも宿命だからしょうがない!」と投げ出してしまう医者には考えられない集中力です。「医療の発展のためには少しの犠牲はやむを得ない」という考え方に、わたし自身は付いていけませんが、人非人扱いされながらも”症例”を重ねて工夫している彼らが居るからこそ、医療は進歩していくのだろうと思います。昔のタブーが今や当たり前になっていることについて、パイオニアとしてその医療常識を覆すために努力した医者達の多くはブラックジャックでも赤髭でもなく、ただのしつこい凡人だったことは間違いありません。

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