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病人になりたくない

「病院に行ったら自分を病人扱いするから、だからわたしは病院には行かない!」「わたしは病人にはなりたくないんだ!」・・・高血圧症や脂質異常症で『要治療』の判定を受けて毎年紹介状をもらっているにも関わらず絶対に受診しない方の中には、こういう理屈を理由にする人が意外にたくさんいます。

「あんたは立派な病人なんだから病人扱いされて何が悪い?」と医療関係者は十人が十人そう思うはずですが、「痛くも痒くもなく日常生活はおろか運動や旅行や、何不自由なく健康的にやれている自分のどこが病人なのか?」と一般の方は大なり小なりどこかでそう思っているように思います。くすりにしても同様であり、早々にくすりを飲んで健康体を維持できた方がはるかに健康的だ!と考えるのが医療従事者・・・くすりをもらった時点で病人になり下がったことになるから頑なにそれを拒み続けるという感覚をどうしても理解できないのです。

この埋まりそうで埋まらない絶対的なミゾ・・・「病人」とは何か?「病気」とは何か?これは医療に携わる仕事をしている限りずっと付いて回る難問のような気がします。ただ、それが病人であれ健康人であれ、最後に「良い人生だった」と思って死ぬためのプロセスなのだということには反論はないところでしょう。

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