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がん検診啓発

九州予防医学研修会オータムディスカッションの今年のテーマは『がん検診』でした。

基調講演の境健爾先生にフロアから質問がありました。「がん検診の受診率がまだまだとても低いのですが、先生は、検診受診率を高めるためにどんな啓発をしたら良いと思いますか?」
「わたしが住民のみなさんにお話をするときには、もちろんまず早期がんで見つかると根治できる率が異常に高い、ということを強調します。でもそれと同時に、進行がんになっても今は良くなる治療がたくさんあることと、不幸にして末期がんだったとしても今の緩和ケアは決して苦しく辛いものではないことを、さらに強調します。それは、『自分ががんかもしれないし、がんだったら怖いから受けたくない』という人が意外に多いからです。」

検診後の精査指示に対して「おれはどうもないから行かない」とか云っている人の多くは、「がんだったら怖いから」が本音なのだと聞いた事があります。わたしに気になる症状の相談をしてくる知人に、「そんなに心配だったら早く病院に行ったら?」と云うと、「こわい」と軽く拒否されます。「こわいから早く行った方が良いんじゃない!」と云うと、「うん、考えとく」と気のない返事・・・医療者はそんなことナンセンスだと思いがちですが、でも境先生の云う通りだと、わたしも思います。より人間的な人生をすべての人に送ってもらうことを考えるならば、「検診で早期発見しないと大変なことになりますよ」と脅すような啓発活動だけでなく、不安になっている人たちに検査を受けることのメリットを分かってもらうことの重要性を、境先生のお話から痛感することができました。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

ジャイ先生

毎日、すいません
どうしてもスルーできない…

私も、こわくて、ず〜っとがん検診を受けてませんでした。
告知されるのが、こわくて。。。私の中にあった告知のイメージは…神妙な顔をして座っている患者に、沈痛な面持ちのDrが「残念ですが…」と告げる、というもの。言われただけで、病状が悪化しそうです。

でも、実際の告知は非常にあっさりしたもので
診察室に呼ばれて椅子にすわってすぐに
「はい、予想どおり悪性でした」と。え、簡単やな…と、椅子からずり落ちそうになりました。もうちょっと勿体振ってくれよ…と。

私が検診を受けようと思ったきっかけは、
川村かおりさんのドキュメンタリーを見た事でした。その時は、まだ検診を受けようとは、思いませんでしたが、彼女が旅立ったと知った日、仕事から帰るとポストに市から、乳がん検診の無料クーポンが届いていました。うちの市長さんは女性で、名前はかおりさんです。
まっさかな〜と思いながら、でもまぁ話のタネに一回受けてみるか…とレポートするつもりで受診しました。

私の告知に添えられていた先生の言葉は
「深刻にならないでくださいね。まず、死ぬことはありませんから」

自分が経験して、検診の大切さがわかりました。

大した事はできませんが
これからも自分の体験をまわりの人達に伝えていきたいと思います


投稿: 向日葵 | 2011年9月 8日 (木) 06時27分

向日葵さん

虫の知らせ時、じゃないですね。向日葵さんの人生はおそらくすべてが必然であり宿命ってやつですね。私が交通事故にあって車が大破してもこうやって生かされているのと、どこか同じ臭いがします。生かされている人生を全うすべく、ますます伝道師であってください(笑)

今回はとてもデリケートな話を、向日葵さんのような方が読んでいることを承知の上であえて書いてみました。

投稿: ジャイ | 2011年9月 8日 (木) 20時11分

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