低線量CT
先日配信されたCareNet.comに低線量CT検査で肺気腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のスクリーニングができる、というオランダ・ユトレヒト大学医療センターのOnno M. Mets氏らの報告が載っていました(JAMA.2011.10.26)。
また「肺気腫の肺野内体積および気管支径を定量的に評価できるワークステーションソフト」のデモが行われるという連絡も職場のメールを通して送られてきました。肺気腫の状態が視覚的に表示できるソフトらいしいです。
うちの施設で宿泊ドックの受診者全員に低線量胸部CT検査をするようになって数年になります。当初は賛否両論ありましたが、今では多くの健診機関が取り入れている検査です。ただ、あくまでも肺がん検出目的の意味合いが強いように感じて、それを一番懸念していました。喫煙に関連しない肺がん(腺がん)は進行が遅いので検査の意義があります。でも喫煙に関連する肺がん(扁平上皮がんや小細胞がん)は進行が早く、"タバコを吸っているからがんが心配で"CT検査を受けてたとえ問題がなかったとしても、1年後に生きているかどうか保障できる検査ではありません。がんのスクリーニングを年1回のCT検査で行うためにはまず禁煙することが必須条件です。
ですから、わたしは喫煙者にとっての胸部CT検査の意義をCOPD、肺気腫の検出に絞って説明しています。肺のう胞所見がいくつかみつかると禁煙のきっかけになれるからです(タバコの相性)。そういう点では、上記の報告やソフト開発が健診で行う低線量胸部CTスクリーニングの意義を高めるものとして期待しています。
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