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放射線専門医の責務

つくば市で行われた第51回日本核医学会学術総会に行ってきました。3月11日の大震災以来しばらく関東以遠への出張が制限されていたこともあり、個人的には約1年ぶりの上京となりました。

放射線医薬品を扱う専門医の学会ですから、冒頭で緊急合同シンポジウム『福島第一原子力発電所事故による放射性物質漏えいについて』が企画されたのは至極当然なことだと思いました。その中で、京都医療科学大学の大野和子先生の「医療関係者に必要な知識」という話が頭に残りました。

わたしたちは医療者であり、特に放射線専門医であるから、初めから放射線の怖さも安全性も心得ています。だから日本中で病的に騒がれている事象が常軌を逸した状況であることは簡単にわかります。がん発症のリスクは日常の生活習慣がその大部分を占めており、今回の放射性物質漏えいは、これまでも、これからも、それにほんのわずかに上乗せするかどうかでしかないことを当たり前のように知っています。日本が今回打ち出した諸基準は世界の基準に比べると2倍も3倍も厳しく設定されています。それは通常ではありえない量の放射線を何年も浴び続けても生体に影響を与えない量をさらに厳しく想定されているのです。それでも一般市民の方々は恐れおののくのです。その理由は、常に放射線が自然界に存在しているというレベルの常識ですら一度も学校で教わらないからだと云います。そして、外国の原爆実験のために昔から日本に大量の放射線が落下し続けてきた事実をマスコミはまったく報道してこなかったからです。

今、国や政府の云うことは何も信じられないという人ばかりです。でも、まだ幸いにして医者には耳を貸してくれます(それでも、「医者も人によって云うことが違う」との苦情)。わたしたちは、きちんとした知識の確認をして医療人として意思統一を図り、その上で正しい情報を発信する義務があるのです。・・・最後に大野先生はそう締め括りました。

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