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eGFR(前)

「ちょっと聞きたいことがあります。」

すでに宿泊ドックの結果説明を他のドクターにしてもらった方がそう云って戻ってこられました、とアテンダントのお嬢さんがわたしの診察室に69歳の男性を連れてきました。「これが年々悪化しているのですが、どうしたらいいのですか?」・・・診察室の椅子に座るなり神妙な表情をした彼はそう切り出しました。彼が指差したのはeGFRの項目です。腎機能の新しい指標であるeGFRはやっと少しずつ市民権を得るようになりました。数ヶ月前には「ためしてガッテン(NHK)」でやっていたと誰かが云ってました。健診で正常だと判定されているのに人工透析になっていく人がいます。そんな人を早めに見つけ出して早めに生活改善を促したいという発想から「慢性腎臓病(CKD)」の概念が生まれました。それを数値で表すのがeGFR(糸球体ろ過量推算値)です。正式には24時間尿を溜めて測定する検査を健診で得られる数値だけで簡単に導き出そうという、とてもザックリとした計算式の値です。この男性のeGFRは54.7でした。昨年が57.2、一昨年が61.2・・・60未満を中等度CKDと診断して意識的な生活療法(主に食事療法)を促すことになります。そして50未満は一度専門医のもとで正式な検査を受けるように指示する、というのが熊本市のマニュアルです。

さて、彼の健診結果です。たしかに数値が徐々に減って、特に昨年から60を切ったので評価も厳しいものに変えられていますから、気になるのはよくわかります。でも、すでに糖尿病と高血圧と弁膜症の治療を受けている彼の場合、日々の食事療法もほぼ完璧にこなしているようで、コントロールもきわめて良好です。今以上のストイックな生活を強いる必要はまったくない様に思われます。しかもeGFRが計算され始めるよりはるか前(うちの健診を受けるようになった7年前)から、クレアチニン値はまったく変わっていませんから、変化したのは年齢だけです。 (つづく)

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