アディポネクチンと骨密度
『高齢男性で血清アディポネクチン高値が脆弱性と関係し、死亡を予測』(Medical tribune 2011.12.22号)
脂肪細胞が単なるエネルギーの貯蔵庫ではなくてホルモンを生産する巨大臓器だということはここで何度も書いてきました。そんな中の善玉ホルモンの親玉が「アディポネクチン」で、アディポネクチンが動脈硬化を抑えて、糖尿病や脂質代謝を改善させる作用をしている張本人だということ、メタボになると内臓脂肪が増えてこのアディポネクチンの働きが落ちるのだと云うこと、肥満や運動不足やタバコがアディポネクチンを低下させるのだということ、だからアディポネクチンが多いほど良い!毎日アディポネクチンを増やす努力をしましょう!と語ってきたわけです。
ところが、ここに書かれているのはどうも逆のこと。高齢男性でアディポネクチンが高値だと骨が弱くなって死亡リスクが上がる、というのです。さりげなく、さも当たり前のことのように書かれているその学会(第33回米国骨代謝学会)報告記事を読みながら、ちょっと不安になってきました。でも、調べてみるとどうも整形外科の世界では周知の事実のようで、アディポネクチンは年齢とともに上昇し、高値なほど体重や握力や骨密度が低いそうです。脂肪代謝と骨代謝は切っても切れない関係にあることは理解していましたが・・・わたしのアタマの中が久しぶりにパニックに陥っています。
結局、高齢者はアディポネクチンを増やす努力をした方が良いの?それとも増えないようにした方が良いの?現実にはきっと悩む人が増えると思います。ちなみに、「アディポネクチン高値が呼吸器系関連死亡率増加」なんて論文もあります。
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