体力医学
Medical Tribuneに日本体力医学会のプロジェクト研究『メタボリックシンドロームの予防・治療のための運動療法:体力医学的評価に基づく運動指針』の報告が書かれていました。
考えてみると、臨床医をしていたころ、循環器内科という、運動には縁の深い領域を専門にしていた割には「体力」などという学問にほとんど興味がありませんでした。自分がスポーツをするという点で、若さを保つバロメーターとしての「体力」には興味がありましたが、医療としては、あくまでも病気のリハビリとしての「体力」であり、アスリート的な筋肉作りや生活習慣病予防のための体力作りは医療者としては邪道だと真面目に思っていました。どうでもいいこと。それよりも病気の治療をする方がはるかに大事だと信じていました。ですから、いつの間にかそっち側の立場にすっかり入り込んでしまった自分の姿を眺めるにつけ、人生なんて不思議なものだなと思います。
記事を読んでみると、この学会、見事に痒いところに手が届くような絶妙なポイントを突く研究をしていて、とても参考になりました。とかくアカデミックさを追求するあまり机上の空論的になりがちなこういう理論ですが、たとえば「太りすぎで運動できない人や運動嫌いな人に、ジョーバ(乗馬用運動機器)やらくらくウォーク(椅子に座って自重で踏み込む脚部運動機器)やシェイキングボード(往復するプレート上に立つ水平揺運動機器)の利用でもインスリン抵抗性は改善するのか」とか、「メタボ対策は運動しなくても内臓脂肪減少効果があれば食事療法だけでもいいのか」とか、実際の現場で使えるきわめて具体的な検討を行っているところが「いいな」と思いました。
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