精進料理
ヘルス&ビューティー・レビュー(HBR)というアンチエイジング雑誌があります。これも本の整理で発見しました。中に、吉川敏一先生が永平寺を訪ねた企画がありました(2010.11)。食に関するとても奥深いと思える内容でした。全文を読んでほしいけれど叶いませんので、ちょっと長くなりますが、永平寺の台所・大庫院内を守る三好良久典座老師の語録を中心にただただ転記してみます。
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見た目を若くすることでもなく、長生きすることでもないアンチエイジングがある。それは「与えられた命をていねいに悔いなく生きる」こと。これは永平寺に800年近く続く道元禅師の教え(特集の扉文:宇山恵子さん)。
「それは食に対する感謝の心を忘れてしまったからです」~「食育」という立派な言葉だけが独り歩きし、作る時間も食べる時間もない現代人が結局低体重で生まれて朝食抜き、孤食児童、個食家族、ダイエットで体を壊し、メタボに悩む、その理由について三好良久典座老師が発した言葉がとても心に響きました。
「私たちが食事を口に入れるまでに、何人の力が必要か、想像したことがありますか?野菜を作ってくれた人、運んでくれた人、調理してくれた人・・・どの人も汗を流してあなたにおいしくたべてもらおうと、心を込めてくれたことを知れば、感謝の気持ちが芽生えてくるはずです」
「おいしく召し上がれ、とまごころが込められたおにぎりは本当においしいもの。ロボットや手袋をはめて作ったおにぎりでは、パワーが出ません」
「精進料理という肉や卵を使わない料理のことだと思いがちですが、作る側の基本である『三心』と、いただく側の基本である『五観の偈』を忘れずに、日々の食事をいただいていれば、それは立派な精進料理であり、修行になっているのです」
※五観の偈(ごかんのげ):道元禅師から食べる人へ
※三心=「喜心」「老心」「大心」:道元禅師から作る人へ
「精進料理は若返るためでも、痩せるためのものでもありません。清らかで平安な世界を求め、修行をする人々のための料理です。細かい栄養バランスなどは考えず、雲水(修行僧)の日頃のようすを見て、季節に合わせて、心を込めて調理しているだけです」
「三徳を持ち、六味が調和した料理でなければ、典座(てんぞ)の料理とは言えない」
※六味:苦味、酸味、甘味、辛味、塩気、淡味
※三徳:軽軟(口当たりがやさしくさわやか)、浄潔(衛生的な調理場)、如法作(仏の教えを守った作法)
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コメント
ジャ医先生
おはようございます。
今日のコラムは小生にとりまして、大変懐かしいお話しです。
かれこれ50年前、高校3年生の夏休みに親の一方的な権限で、短期養成得度修行に永平寺にぶち込まれました。
当時の私は坊主はイヤで嫌で堪りませんでしたが、
修行と言う名のイジメ、シゴキで叩きのめされました。
しかし、当方も柔道2段のヤンチャ盛り、スッタモンダをやってきました。
「禅問答」と言う言葉がありますが、私の「屁理屈、へそ曲り」はその当時に鍛えられた物と、今、考えられます。
食に関しても記載通りですが、僧職者は「私利、私欲、私物」は絶対のご法度で、ただ国民の平和を祈る事により「国民に命を支えて戴く」と言うことで、「一食毎の托鉢」が基本となっています。
今時「坊主の托鉢」など一部の寺町でも珍しくなって来ましたが、それが基本です。
当然、修行僧モドキの私も先輩僧達と托鉢に町に放り出された物です。
言っちまえば、体の良い「物乞い」であり、最初の頃は恥かしい事、この上ありませんでした。
でも・・・「○○商売、3日やったら辞められない」・・・段々と堂々と遣れる様になってくるから、「慣れ」とは恐ろしい物です。
食材の大半が托鉢で徴収されますので、結構メニューに変化があります。
今の様な「栄養バランス」なんてのは、托鉢提供者に言って頂かなければなりません。
お粥、味噌汁、香の物(梅干、沢庵)程度でして、老若の別はありません。
約1ヶ月半の修行モドキでしたが、人間基礎教育年代の時でしたから、以後の人生のベースになっています事は否めません。
と、言うわけで私の「屁理屈、へそ曲り」は「禅問答」がベース?・・・かもしれませんので悪しからず!
昨日は阪神震災の17回忌、もう17年。
最近、仙台地方、ここのところ地震がまた、多発してきました。
ナマズの居心地が悪いのかもしれません。
地震が名物の仙台 asuka3h 拝
投稿: asuka3h | 2012年1月18日 (水) 09時21分
asuka3hさん
やっぱりそうですか。
これを書きながら、asuka3hさんのことが浮かんだのはそういうことなんでしょうね。
屁理屈の原点、ここにあり。了解しました。
投稿: ジャイ | 2012年1月18日 (水) 21時57分