医師用専門情報サイトMTProの2012.1.31配信分に掲載されたDoctor's eye(北里研究所病院糖尿病センター山田悟先生の連載記)に『糖質制限食 vs. カロリー制限食』の不毛の論争に結論を出すべきサブ解析結果の解説が出ていました。
<糖質制限食はカロリー制限食・地中海食と同様にメタボ関連因子を改善~DIRECT試験サブ解析から>
DIRECT試験というのは、肥満のイスラエル人をカロリー制限食(脂質制限含む)と地中海食と糖質制限食(カロリー無制限)の3つのグループに分けて2年間観察した試験で、最も体重減少と糖尿病患者のHbA1c改善が顕著だったのが糖質制限食だった、というものです。これのサブ解析が今年公表されたのだそうです
それによると、減量に伴う代謝指標のうち、初期の6ヶ月(減量期)に改善するが18ヵ月後(維持期)に改善が失われるパターンのものと、維持期でもずっと改善をし続けるパターンのものとがあり、前者がインスリンや中性脂肪、レプチンなど、後者がHDLコレステロールやアディポネクチンなどだそうです。で、このサブ解析によるとこの2つのパターンの動きには3種類の食事法のどれでも差がなかったのです。他の論文(Am J Clin Nutr 2011;94)によるとコレステロール吸収やコレステロール合成のマーカーでも3つの食事法で差がなく、結局これらの行く末の動脈硬化予防効果は3つの方法に差がないということが云えるだろう、と山田先生は解説していました。
;まあこれも今までに何度も書いてきましたが、結局どれをとっても差は微々たる物なのであって、極端な食事法を求める意味もなく、腹二十分目くらいまで食わないと気がすまない人間はどんな理由付けしても腹十分目までに減らす必要はあるのであって、食べる楽しみを取り上げない方法はもっとシンプルな世界だと云えそうです。
途中に紹介されていたAHA(米国心臓協会)の発表(Circulation 2011;123)の「脂肪摂取は少量よりも中等度(エネルギーの30~35%以上)の方が中性脂肪の減少に役立つ」という話はおもしろいと思いました。
最近のコメント