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健診の心電図の使命

心電図に『異常Q波』という所見があります。心筋に傷害があるとQ波という下向きの鋭い波が出るのです。『異常Q波』はつまり「古い心筋梗塞の跡がある」可能性を示しています。ですから、すでにはっきりと心筋梗塞の診断がついていたり、それに対する治療をしている人でなければ、健診の心電図に『異常Q波』があれば精査を勧めることになっています。

ただ・・・循環器専門医であればあるほど、なかなか要精査の判定は下せないものです。思いの外『異常Q波』所見はたくさん見られます。その大部分は心エコーなどの精査をしても梗塞所見はありません。太っているとかやせているとか、あるいは小さな冠動脈の枝が発達しているとか・・・そんなことでも『異常Q波』になります。ですから、既往歴や問診に問題がない限りつい軽めの判定にしてしまいます。

でも、あるんです。まったく症状もないのに健診の心電図でひっかけられて検査したら心筋梗塞がみつかり、さらに精査をしたらバイパス手術を受けなければならないほど重症だったということ。そういう方の主治医をしたことのあるわたしは、心電図を見て「こんな小さなQ波でひっかけるのか?」と驚いた(少なくとも自分なら「異常なし」と判定するだろうと思った)記憶があります。あれを経験しているわたしならもっときびしく判定しなければならないのかもしれません。・・・でも、調べても大部分が正常なんです。ほとんどが病人ではないんです。ただごくまれにこんなことがある・・・どうしたものでしょう。そのために仕事を休んで高い金を払わせる勇気が要るのですが・・・。

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