« 通勤時間は哲学の時間 | トップページ | 先入観 »

悪玉HDL

HDLコレステロールを「善玉コレステロール」と呼ぶのは、泡沫細胞からコレステロールを引き抜いて肝臓に戻すだけでなく、抗酸化、抗炎症、内皮細胞の修復、内皮細胞のNO産生促進などの作用があるからです。ところが、最近、機能異常をきたした酸化HDL、機能不全HDLが存在することが明らかになった、というニュースを先日配信された日経メディカルオンラインで読みました。

数年前、HDLを増やす薬剤(コレステロール転送蛋白阻害薬)の開発中にHDLコレステロールが上昇したにもかかわらず心血管イベントが有意に増加して、開発を中止せざるを得なかったことがあります。もともと、このコレステロール転送蛋白欠損症という家族性の病気があり、この患者さんは高HDLコレステロール血症なのに動脈硬化が進んだり冠動脈疾患を有していたりする人が多いことが知られています。また海外の報告では、冠動脈疾患患者のHDLコレステロールは健常者のそれより有害作用がある(酸化HDL)ことも明らかにされています。家族性の高HDLコレステロール血症の中にコレステロール転送蛋白欠損症があることは昔から知っていましたが、後天的に本来の仕事である”善玉”機能を十分発揮できなくなった機能不全HDLや酸化HDLがあるということは知りませんでした。

そういえば、最近ちょっと気になっていたのです。特に運動を始めたわけでもないし、特に健康に良いことをしたりサプリを飲んだりしたわけでもないのに、HDLコレステロールだけが1年前より倍増している受診者に遭遇する機会が急に増えました。この中には機能不全HDLの人も少なくないのかもしれません。ちょっとばかり厄介です。

|
|

« 通勤時間は哲学の時間 | トップページ | 先入観 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 通勤時間は哲学の時間 | トップページ | 先入観 »