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バイアス

心筋血流シンチグラフィという検査があります。放射線のくすりを静脈注射すると心臓の筋肉の中の血の巡りがいいところにだけ入っていって、それを撮影すると心筋の傷んでいる部位や程度がわかります。わたしは本来この検査を専門にしています。循環器内科の臨床から離れて10年以上ですが、この検査の読影は特殊技能なために今でも週に数回は読影を任せられています。

心筋を調べる検査は他にもたくさんあります。冠動脈の狭さを調べる冠動脈造影や心臓CT、MRI、心臓の動きを調べる心エコー検査など・・・医者はそれらの検査を組み合わせて患者さんの心臓に今何が起きていて、何をすべきかを総合的に考えるわけです。天皇陛下のバイパス手術もそんな検討の結果決められたストラテジーなのでしょう。

心筋シンチの読影をするときに他の検査結果を総合的に考えてしまう人がいます。シンチに異常所見があっても冠動脈造影に異常がないから有意所見として読まない方がいいのではないかとか、シンチの異常域の広さに比べて冠動脈狭窄の部位が端の方だから過大評価かもしれないとか・・・。それは違うんじゃないか?それは主治医が判断すべきことであって、自分たちは他の検査結果に惑わされずに目の前の画像を読影しないと、返ってバイアスをかけてしまうのではないか?冠動脈造影に異常がなくても心筋に虚血が起きることは珍しくなく、シンチ所見の方が正しい可能性があるのにそれを打ち消してしまうことになるのではないか、わたしはそんな人をみていつも懸念しています。気持ちはわかるのだけれど、ここは心を鬼にしてシンチの結果だけをレポートすべきだと、わたしは思います。

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