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まっぴらごめんだ

「さすがにこんだけ高い値が何年も続くのだからそろそろ観念して病院受診した方がいいんじゃないですか?」

健診のときの収縮期血圧が毎回200mmHg近く、一向に改善の気配がないどころか年々上昇しているのでそう助言したら、笑いながら「まっぴらごめんだ」と云い放って帰っていった御仁が、わたしが経験しただけで2人ほどおります。同じ言葉だったのがちょっと面白かったのを覚えています。彼らは何ら反論せずにきちんと説明は聞いてくれるので助かります。もっとも、逆に言えば、いろいろ云っても無駄だと思っているからそうなのでしょうけれど。「まっぴらごめん」なら受けなきゃいいのに、と思うのがまあわたしたち医療者の本音です。数字が出るからこうなるのだから、数字さえ出なければ何も云われないのだし、あるいはウソでも「診てもらっている医者が居る」と云っておけば何も追いかけないのに・・・そこはプライドが許さないのかしら。

こういうひとはたぶん意外に元気で長生きします。何の確信もありません。循環器内科医の長年の勘です。単に症状がないからとか、ほかの危険因子が大したことないから、とかいうガイドラインのような普遍的なものではありません。ただ、結局第三者の立場で金をいただいて判定をする以上は、確率的に大事に至らないように防衛線を張ります。だから治療ガイドラインが存在するわけで、統計学的に確信があるデータに従ってことが進みます。だから、くだんの「まっぴらごめん」さんは、受診しちゃダメなんですよ、と内心で思っています。だから、笑って出ていく姿を見送りながらあまり罪悪感を感じませんでした。

以前、若いときから著しく高い血圧のまま80歳を超えている女性に治療の要否の相談を受けたことがあります。こんなひとに薬なんか使おうものならおそらく一気にカラダが弱っていくだろうと思ったから、「今のままでいいと思います」とお答えしましたが、身内でもないあの方にそんなことを答えるのはかなり勇気が要りました。

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