うれしかったこと(後)
翌日、結果説明のために診察室に彼を呼び入れました。どこか顔つきが穏和です。去年までの苦虫を噛み潰したというか誰も寄せ付けないオーラ満載の顔つきと明らかに違いました。データを一緒に眺めます。「ここのところ仕事が忙しくて外来に行けてません」~彼の方から話し始めました。「インスリン注射をしている状態だから血糖管理は最優先に考えてくださいね」というわたしの話も素直にうなづいています。実は、血糖を除くとどのデータも去年より良くなっていることにわたしは気づいていました。「今年も何もしてない」と問診の記録には書かれているけれど何かが違うことを感じました。
「まだまだの値ですけどなんかいい感じですよ。また保健師さんと何か決め事をして帰ってください」、と云って部屋から送り出しましたが、後で担当保健師さんが教えてくれました。「ちょっと野菜を先に食べてみたり夜遅くに食べないようにしてみたりしている」のだと。「あんたたちがいつもわたしのために一生懸命云ってくれてるけん、申し訳ないけん、ちょっとやり始めた!だそうです」・・・彼女はちょっと嬉しそうにそう話してくれました。「へえ、あのAさんがねえ。良かったね、みんなの熱意の賜物だね」・・・うれしくてちょっと目がうるうるしてくるのを誤魔化しながら、わたしは彼女たちの労をねぎらいました。そして、Aさんの表情が穏和になってきた理由がわかったような気がしました。
| 固定リンク
コメント
本物の気持ちは
あきらめないかぎり
いつか伝わります
先生。。
うるうる(T^T)したのね!
少年やなー
投稿: ぱみゅぱみゅ | 2012年7月 6日 (金) 16時03分
ぱみゅさん
「いいな」と思った瞬間にウルウルくるんです。ちょっとでも褒められたら、もうダメ。
ほら、ぱみゅさんがほめるから、また号泣してもうた!
投稿: ジャイ | 2012年7月 6日 (金) 20時04分