« 糖負荷試験 | トップページ | ワンズのアンチエイジング »

内因性心臓死

6月に急逝した男性の話をここに書きました。亡くなる数日前に健診を受けているのに悲劇を未然に防ぐためのアドバイスももらえないのなら、健診なんて何の意味もないのではないか!・・・先日、故人の奥さまからそんな疑問を問いかけられ、わたしは初めて奥さまと40分ほど電話でお話をしました。心筋梗塞の半分以上は前触れがなく、節制していても突然起きるものだということは理解していただきましたが、救急車が担ぎ込んだ基幹病院でもらった死亡診断書の直接死因の欄に『急性心筋梗塞』ではなく『内因性心臓死』と書かれたことが納得いかない、と訴えられました。

『内因性心臓死』~脳が原因ではなく、事故や外傷などのはっきりした原因がなさそうな場合に状況証拠的につけられる診断名。直接は急性心筋梗塞や不整脈がその内容の大部分ですが、断定ができないという意味なのでしょう。彼の場合は、おそらく心筋梗塞が起きていたこと(Aiに準ずる検査も受けたそうです)に間違いないでしょう。でも剖検を受けていないのであくまでも推測の域を脱せず、それが直接死因であると断定できないから担当医は『内因性心臓死』を選んだのだと推測します。

わたしたちは「内因性心臓死(内因性急性死)」と「急性心筋梗塞による急死」はほぼ同義語だと認識しています。だからどっちでも大差はないではないかと思っています。ところが、生命保険の世界では、「内因性心臓死」と「急性心筋梗塞」は別物です。三大成人病=ガン、心臓病、脳卒中・・・その中の「心臓病」の中に、「内因性心臓死」のことばが入ってないようです。だから、保険金の額がまったく違うのだそうです。内容が同じなのに、使う用語が合致しなければ保険はおりない・・・だからといって真実を曲げる必要はありませんが、理不尽な現状であることをわれわれ医療者は知っておくべきだと感じました。

|
|

« 糖負荷試験 | トップページ | ワンズのアンチエイジング »

心と体」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

未だかって「生命保険」の請求をしたことがありませんでしたので、
初めて知りました。

「事務的」と言いますか「業界ルール」とでも申しますか、
でも・・・利害関係者に於きましては、ドエライ事ですよね。

                    asuka3h 拝

投稿: asuka3h | 2012年9月20日 (木) 08時57分

asuka3hさん

おはようございます。今朝は早朝から市場の健診にきております。

金のかかるものには必ずこういうことはあるもので、わざと融通を効かせないようにしないと悪用する輩も多いのでしょう。でもそのために高い保険料払っているのに。医者にああ書け、こう書けと無理難題を持ちかける患者さんの気持ち、わからないでもありませんが。

投稿: ジャイ | 2012年9月21日 (金) 06時53分

外科の勤務医をしていると
心臓にまつわる死亡診断書を書く機会はまずないので
内因性心臓死なる言葉自体を知りませんでした
記憶しておくつもりですが
最近物忘れが・・・

投稿: hana | 2012年9月21日 (金) 10時33分

hana先生

たぶん絶対使うことはないです。私も使うことはないと思います。せいぜい『内因性突然死』くらいでしょうか。人知れず急死したうちの父の死亡診断書でも、『虚血性心疾患による突然死の疑い』って書かれてました。そっちの方がポピュラーでしょう。

投稿: ジャイ | 2012年9月21日 (金) 12時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 糖負荷試験 | トップページ | ワンズのアンチエイジング »