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「産まれた理由」

11月に東京の劇団が公演するドキュメンタリーシアター『;産まれた理由』の取材として、劇団員で大学時代からの同僚であるOくんが先日我が家にきました。不妊治療を始めるきっかけから治療をあきらめるまで、そしてこれからのこと・・・約1時間半に渡ってその大部分を妻が語ってくれました。

途中で2回の妊娠と流産や掻把を受けることになったときの誰にも打ち明けられなかった気持ち。産婦人科の待合室や診察室の中でのわたしも知らなかったいろいろな思いを、彼女は淡々と語りました。取材の翌日にOくんがよこしたお礼のメールには、「奥さんの笑顔の奥にどれほどの試練が隠されているか。『女は常に戦ってます』ということばが、ダラダラ人生の私にはイタギツイというか、神々しいというか。」・・・わたしもまた、となりに座って話を聞きながら同じように感じていました。

今世のわたしたち夫婦に与えられた使命が何なのかわかりませんが、今一度当時を思い出しながら、「生きること」自体を考え直す時間になりました。

「主人から聞きました?あ、まだですか?実は最初の子(枯死卵のまま掻把することになった)がダメだった後、家を建ててイヌを飼いました。町田のブリーダーさんのところで、ブリーダーさんが自分で育てるために隠していた子に一目惚れしてその子をもらいました。その子が我が家に飛行機でやってきた後に名義変更した血統書が届いたのですが、それを見てとても驚きました。その子の生まれた日は、私たちの子どもが生まれるはずだった予定日と同じ日だったんです・・・。偶然かもしれませんが、わたしにその子が生まれ変わりとしてわたしたちのところに来てくれた天使のように思えてなりませんでした。」

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