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ヘム鉄と糖尿病

「鉄を過剰にとると糖尿病になりやすい」というのは、わたしは知らなかったのでちょっと驚きました。遺伝性鉄過剰症が2型糖尿病のリスクになるとか、遺伝性ヘモクロマトーシスの鉄蓄積が中等度以上増加すると血糖値とインスリン値が上昇するなどの報告があるようです。

MTProに中国からの系統的レビューとメタ解析についての報告が載っていました(華中科技大学 Wei Bao,et al : BMC Med 2012.10.10オンライン版)。それによると、同じ鉄分でも動物性由来のヘム鉄にその関連が認められたが、植物性由来の非ヘム鉄では糖尿病リスクの上昇は認められなかったそうです。そのメカニズムとして「鉄は強力な酸化作用を持っているので酸化ストレスとして膵β細胞を攻撃するのではないか」と言及されていました。

さてさて、何となく想像はついていましたが、何かと厄介なのは、若い女性に多い鉄欠乏性貧血に対して、非ヘム鉄よりヘム鉄を取ることを普通推奨していることです。ヘム鉄の方が体内吸収率が高いからです。補充しても吸収率が悪いなら取るだけ無駄なわけですから、貧血の女性は動物性食品から鉄を補充することを勧めています。今回の報告をマスコミがどうとらえて報道するかによって、治療に大きく影響を受けます。「ヘム鉄が糖尿病を起こす原因になる」のではなく、「ヘム鉄を”過剰に取りすぎる”と糖尿病リスクが上がる」と云っているのです。過ぎたるは及ばざるがごとし・・・ここのところだけを強調すればいいことなのだけれどと、老婆心ながら心配してしまいます。

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