« 今日は・・・ | トップページ | 決まったら連絡します。 »

判定をにぶらせる

「安静時に、首から胸にかけて痛みが走ることがある」

人間ドックの結果説明をしようとしたら、問診票にそういうメモがありました。曲りなりにも循環器救急をやってきた医師として、この文を読むと、「それは狭心症かもしれない?不安定狭心症や異形狭心症は否定できるのか?」と即座に思います。「不整脈ということもあり得るな」とも。

”専門バカ”といいましょうか、やはり最優先に除外診断の項目に浮かぶのは自分の専門領域ですし、それを見落としたら恥ずかしいという思いもあります。ですから、突然上腹部が痛くなって病院に救急搬送されたとき、最初に診る医者が消化器専門医なら胃潰瘍?と思いますが、それが循環器科医なら急性心筋梗塞を疑ってまず心電図を取ります。今は救急診療の分野がしっかり確立されていますが、以前は、急性心筋梗塞の患者さんに緊急内視鏡検査をしてしまうことは珍しくありませんでした。

そんな中、冒頭の文を読んで、「逆流性食道炎かもしれん」・・・最近わたしはそっちの思いの方が勝る傾向にあります。自分が逆流性食道炎の症状でとても苦しい思いを経験するようになったからです。幸か不幸か、狭心症を経験したことはないので実感がわきませんが、逆流性食道炎のそれはよくわかるのです。

自分で病気を経験することは、患者さんの悩みを実感として理解できるのでいいアドバイスにつながるというメリットがありますが、実は診断をにぶらせる結果にもなるのだなと感じています。知らなければすぐにつけらるであろう診断名なのに、候補の病気の選択肢が増えるほど悩んでしまいます。ヒポクラテス症候群は、結局は未熟な医者であることを示しているのだけれども・・・。

|
|

« 今日は・・・ | トップページ | 決まったら連絡します。 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 今日は・・・ | トップページ | 決まったら連絡します。 »