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健診の診察

「あ、シャツは脱がなくて大丈夫です」・・・わたしはそう云いながら肌着の上から聴診器を当てました。シャツをまくり上げようとしていたその男性は、ものすごく怪訝そうな顔をしました。また「いい加減な診察をされた」とか云われるのだろうか?少し気にはなりましたが、急に寒くなった昨今、直接冷たい聴診器を肌に当てたくないし、循環器科用のわたしの聴診器、肌着の一枚くらい全然関係なく聴き取れるわ!と思うわけです。それはわたしの診察のやり方です。

「手を抜かれた」という意見をもらう一方で、「肌着の上からでも診察できるはずなのに全部脱ぐように指示された」と若い女性からクレームが出ることもあり、数年前にうちの施設での診察の仕方のマニュアルができました。「椅子に座ったままで行う」とか、「検査着は脱がせる(Tシャツ1枚は可)がブラは外させない」とか、「後ろを向かせない(脇から後ろに聴診器を回す)」とか・・・。

そんなことまで決めるのだったら、いっそのこと診察は要らないのではないか、という意見があります。昔、「健診の診察は単なるセレモニーだから聴いているフリをすればそれでいい」と云っていた人が居ました。いろいろな検査をするのだから、診察はあっても意味がないと思っている医者も少なくありません。でも、実は診察は意外に重要な情報をもたらします。心雑音の有無は心電図やレントゲンではわかりません。肺雑音もレントゲンでは得られない情報ですし、甲状腺腫の有無、脈拍の左右差、アトピー性皮膚炎の有無など、採血検査や一般的な検査では得られない情報はたくさんあって、それの確認のために診察があります。逆の云い方をするなら、そんな項目をチェックしないのなら健診に診察は要らないことになります。

是非、健診を受けるときには、医者はそんな項目をチェックしているかどうか確認してみてください。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

以前、病院の若いスタッフさんが

「本当はもっとじっくり
受診者の方と向かい合いたいんですけど…特に健診は流れ作業みたいになるんです」

と、話してくれた事を思い出しました

そんな風に思ってくれているんだなーとうれしくなりました

そんな思いが、受診者の方に届きますように

投稿: もう帰ったろかな… | 2012年11月30日 (金) 12時33分

いつも働き者さん

ありがとうございます。
その思い、伝えられるようにがんばります。

今日、ある先生が、「健診の診察を何人やっても何のキャリアにもならない。内視鏡はやった数だけ実績になる。だから、私は診察なんかしたくない!」と上司に噛みついていました。

傍で聞きながら、残念だな、と思いました。

投稿: ジャイ | 2012年11月30日 (金) 18時17分

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