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2013年1月

がんスクリーニング

Medical Tribune 2013.1.17号に、アミノインデックス技術を用いたがんのスクリーニング法AminoIndex Cancer Screening(AICS)の話題が載っていました。

血液中にある複数のアミノ酸の濃度バランスが普通と比べてどう変動しているかを見ることによって、病気のリスクがどの程度あるか把握できるというもので、1回の採血で複数のがんリスクを確認することができます。現在、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がんについて臨床実用が始まっているそうです。

鳥取県南部町で自治体の補助のもと(自己負担金1000円)、がん検診として行った結果が報告されていました。リスクの層別化として大変有効な方法だとは思いますが、おそらく価格はそれなりに高いはずで、費用対効果から考えるとこの方法が対策型検診(自治体の行う住民健診など)に使われる可能性はそう高くないでしょう。でも、被曝の心配もないわけですから、任意型のドックなどでは十分に需要があると思います。遺伝子検査ではないので、1回受けておけばいいというものではありません。もし毎年高い金払ってPET検診を受けようとするのだったら、絶対こっちを受けた方が有用だと感じています。

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大気汚染と自閉症

胎児期と生後1年間の大気汚染曝露で自閉症リスクが増大

こんな研究結果が南カリフォルニア大学から報告されました(Archives of General Psychiatry 2012.70:71-77)。交通関連の大気汚染、粒子状物質、二酸化窒素に胎児期(妊娠中)~生後1年間で曝露すると、自閉症になりやすいという結果です。

汚染物質曝露が脳に何らかの障害を与えるという報告は何十年も前からありながら、がんや生活習慣病のように簡単な数値として示されにくい上に程度が千差万別で、さらにいくつもの因子が複雑に組み合わさっているので、なかなか決め手がなかった領域です。そういう点で今回の報告は意義が大きいと感じます。ここ10年くらい、自閉症研究が急増しているのが、自閉症発症自体の急増を物語っているのかもしれません。

先日、名古屋大学の室原先生から教えていただいた大気汚染情報ページ<SPRINTARS大気エアロゾル(微粒子)予測>(竹村 俊彦、九州大学応用力学研究所)で時折、九州内での粒子状物質の急増が示される度に暗い気持ちになります。

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気概

休み明けの朝、始業時間を前に自分の診察室のパソコンを立ち上げます。日ごろはそうでもないですが、休み明けは起動に殊の外時間がかかります。

クリックしてもウンともスンとも云わないから再度クリックすると即座に「多重起動できません」とコメントを吐き出してしばらくへそを曲げてしまうので、要らないことはせずにしばらくボーっと眺めることにしています。それにしてもパソコンはいつもマイペースです。こっちは新しい週を向かえて、「さあ、今週も頑張るぞ!」と気合いを入れて診察室に来ているというのに、「そんなこと関係ないよ」と上目遣いでにらむ無骨な町工場の職人さんよろしく、無機質に、というより週明けはいつもよりさらに慎重に、黙々と立ち上げ確認作業をこなしていきます。こっちが急いでいようといまいとお構いなしです。云い方は悪いけど、「技術者系の考え方っていつもこうだよね」と思っていましたが、この無機質な機械的な作業を「正確な作業」というのでしょう。

「こいつには、『今日もしっかり働こう!』という気概がまったく感じられないよな」・・・わたしは吐き捨てるようにグチをこぼしながら、相棒をにらみつけますが、もちろん何も反応はございません。

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アメリカの肺がん検診

米国がん学会(ACS)が発表した新しい肺がん検診に関するガイドラインによると、55~74歳で健康上の問題がほぼないヘビースモーカーに限って、年1回の低線量肺CT検査を受けることを推奨する、ということになったようです。「胸部レントゲンはがん検診として用いるべきではない」「前記対象に当てはまらない場合は医師から低線量CT検査による肺がん検診について話してはいけない」とも書かれています。

昨年の夏、「低線量CTによる検診でヘビースモーカーの肺がん死亡率が20%低下した」という海外文献の紹介にも驚きました。わたしには、肺がん予防という目的でヘビースモーカーが肺CT検査を受けるメリットがあるとは思えません。タバコに関連する扁平上皮癌や小細胞癌のように月単位、週単位で進行するものを年1回確認したところで何の意味があるのだろう?検査を受けて問題がなくて「あー良かった」と胸を撫で下ろしながら一服するわけでしょう。「タバコに関連しない腺癌が先進国で増えていて、それは年単位の進行だけれど症状がないのでそれを見つけるには低線量肺CTが一番力を発揮する」・・・わたしはいつもそう話しています。肺がん検診で低線量CT検査を勧めるとしたら、非喫煙者の方がリーゾナブルなんじゃないのかしら?

EBMとして主張できるデータがない、ということなのでしょうが、何かとてもまどろっこしく感じています。

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問診記録の印象

毎年うちの施設に法定健診を受けに来ては強烈に管を巻いて帰る男性がおりまして、不幸にして問診担当になったナースを悩ませます。

数日前にその人が来たようです。「問診票なんてムダなものは書かん!」「飲んでる薬の内容なんかなぜ教えなきゃいかんのか?」「朝食食ってきたから検査は後日?冗談じゃない、今すぐしろ!」「健診結果票は送られて来たら封を開けずに捨てる!」・・・パソコン上の問診記録を読んでみると部屋の中に広がる緊張感が手に取るようにわかります。法定健診なので結果説明を受けることがなく(あっても無視して帰るのでしょうけれど)わたしはその男性の姿を実際に見たことはないのですが、超クレーマー受診者と同じくらいに要注意人物として有名なようです。

パソコンの問診欄は過去の記録を繰っていくことができます。毎年、イラっとした感満載のコメントが担当ナースの手で書き込まれていますが、それを読みながらあることに気づきました。毎年ほとんど同じやり取りをしているみたいですが、コメントの書き方がヒトによって違うのです。「ずっとイラついている様子」と客観的な印象を書いたヒト。「部屋に入った時からずっと威圧的で横柄な態度」と記録したヒト。その数年前には「仕事でストレスがたまっているようです」とだけ書いたヒトも。これは、担当ナースの人柄なのかもしれませんが、会ったこともない人のイメージをこのコメントだけで思い浮かべるとき、全然違う人間が想像されます。次に対応する時はまずこのコメント欄を読んでから会います。「あ、こいつに当たってしまった」と構えた瞬間から、会う前に相手を先入観で見ますよね。こころの準備ができて良いともいえますし、先入観が邪魔をして偏見で見てしまう弊害もありましょう。でも、イメージって大事だなと思いました。不本意でも、怒りにまかせて書き込むことだけは避けた方がいいな、とも感じました。

この人に「この1年は特に変わりないんですね。はい、今日はこれでいいです」と云って、こっちから問診を省略したら、ひょっとして「なぜ聴かない?手を抜くな!」って怒り出したりしないのだろうか。

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「糖質制限食」

Medical tribuneに年末から4回シリーズで「糖質制限食」の特集が載っていました(シリーズ糖尿病vol.1~4)。糖質制限食の生みの親、「糖尿病の解決(Diabetes Solution)」の著者であるRichard K. Bernstein氏と北里研究所病院の山田悟先生の対談です。

もはや血糖管理は食後高血糖の管理が主体であり、それに直接影響を与えるのは脂質ではなく糖質であるということは明白のようですし、糖質制限の方が糖尿病管理やダイエットに有効であるということも認めます。

でも、これまで何度も書いてきました・・・くどいようですがやはりわたしには論点自体に合点がいきません。これまでのダイエットといえば「低脂肪・高炭水化物食」が常識だったけれど、それを「低炭水化物・高脂肪食」にすべきということに、どうして誰も異議を唱えないのだろう?脂肪を減らすとカロリーを補うために炭水化物の摂取量が大幅に増す、とか、炭水化物を減らすと当然脂肪が増えるからケトン体が増加するのではないか・・・どうしても「カロリー維持」ありきなのですが、糖尿病になったりメタボになったりする人は、基本的に食べすぎなわけだから、どっちも「低・低」でいいのではないのかしら?

南アフリカのジャングル生まれの人がケープタウンに出稼ぎに行くと急速に肥満になり、糖尿病が発症するけれど、またジャングルに戻ったら治ってしまうのが、ケープタウンでパンを食ったからだとBernstain氏は云うけれど、もともとジャングルで昆虫や亀しか食わなかった人にとって、単にカロリーオーバーになっただけなのではないの?と思って読みました。どうして、そこのところに誰も触れようとしないのだろう?糖尿病の人がカロリーを減らすのはムリだ!という大前提があるのだろうか? わたしにはどうしても解決できない謎なのです。

 

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中鎖脂肪酸

ひょんなことから遠い昔のこんな記事を読みました。

愛犬の脳のアンチエイジングに中鎖脂肪酸

高齢犬が増えた(日本のイヌの半分弱が7歳以上だそうな)現在、イヌたちの認知症予防に中鎖脂肪酸がいい、というお話です。ココナッツオイルやパーム油がボケ防止にはいいのだそうですが、だからどうしろと?そんなもので料理を作ってやれと?それとも、そんなものが入っているフードを探してあげなさいと云っているのでしょうかしら?ちなみに、我が家の愛犬ベルは今年の4月で15歳になります。夜にトイレに起こすときだけ寝ぼけてますが、それ以外はまだ大丈夫みたいです。

この「中鎖脂肪酸」・・・現在は、ダイエット効果のために注目されている物質です。 ”脂肪酸代謝”はなかなか一筋縄ではいかない複雑怪奇なものですが、ちまたにあふれている「長鎖脂肪酸」が一旦静脈やリンパ管を通って体内を回った後で筋肉や脂肪細胞や肝臓で代謝されるので分解に時間がかかるのに対して、中鎖脂肪酸は門脈系から直接肝臓で分解されるのだそうです。だからカラダに溜まりにくい・・・とはいえ、やはり取りすぎない方がいいのじゃないかしら。

ちなみに、脂肪酸は不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸の方が動脈硬化を作りやすい特徴があります。不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれます。ま、いいです。こんなことまでここで説明するのがやめます。とりあえず、年取ったイヌ(人間も)には中鎖脂肪酸がいいぞ、というお話でした。

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席を外しています。

ある企業に電話をしました。営業のKさんに用事があったからです。

「○○と申しますが、Kさんはおられますか?」と云ったら、電話に出られた女性が、ちょっと間をおいてから、「あ、申し訳ございません。Kは只今所用で席を外しております。後ほどKの方から電話を掛けるように申しましょうか?」と答えました。

「え、今そちらにおられるということですか?」
「あ、いえ、居りません。」
「じゃあ、出先からそちらに帰ってからかけられるということですね。それなら結構です。急ぎませんので、また明日かけ直します。」
「それでよろしいのですか?」
「はい、結構です。お手数をおかけしました。」

翌日、わたしの携帯にKさんからメールが届きました。
「昨日ご連絡をいただいたそうで、申し訳ありません。昨日は代休をいただいて休んでおりました。・・・」

なんだ、休みだったのか。そうか、「休んでおります」とは云えないから、「所用で席を外しています」なのか。いやーどうなんだろう、その答え方って。本人が種明かししなければ何も問題はなかったのだろうけれど・・・。結果として電話で返答していただいた女性がウソをついたことになります。なんでも気にせず正直に話すわたしも、逆の立場だったら、「すみません、昨日は休暇をもらっていたもので」と先方に電話で言い訳するだろうなと思うのです。うちだったら、うちのスタッフのお嬢さんはどんな取次の仕方をすることに決められているのだろうかな?

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余所行きメガネ

職場健診の日、面倒くさいからコンタクトではなくてメガネで出勤しました。再び、職場の皆さんが私のウルトラマンメガネ姿を二度見します。「メガネ変えましたか?」とまた聞かれました。「今年はメガネで行くことにしたんですか?」とも。

ま、そういう反応には慣れましたけど、その日はそのままメガネを掛けて午後の仕事をしました。他人とお話をする仕事。いつもと同じことを話している(まあ、自分の健診結果にうちのめされていたから、若干ココロここにあらずのところはありましたが)のですが、何か違う。どうしたことか、どこか余所行きの云い方になるのです。相手の目がわたしを見上げる度に、何かわたしのメガネを見ているような気がして(初対面なんだから、見ていても何も問題ないのでしょうが)、気持ちが落ち着きません。どうしたことでしょう。メガネの向こうに見えているモノが、どこか全部パラレルワールドのように見えて、現実味がないのです。

「それはいつも掛けていたらすぐに慣れますよ」と、部長はいうのですが・・・。世の、メガネを掛けている皆さん、本当にそうなのでしょうかしら。

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自然療法

先日紹介した、「そもそも、すべてが『体質』のせいなのか?」(大塚吉則著,Medical Tribune)では、後半部分に「自然療法」について熱く語られています。

同じように運動しいても、スポーツジムのトレッドミルやエルゴメーターを頑張るのと森林浴しながら3~4km歩くのとでは、森林浴歩行の方がはるかに血糖値が低下する(しかも距離を6~7kmにしても効果は同じ)というデータは、理屈抜きに驚きました(p113、「第3章 自然治癒力を高める生活術」)。「ハードな運動より気楽にできる軽い運動を!」「屋内で義務的に行う運動よりも、自然のなかでリラックスして無理なく行う運動の方が楽しい上に効果がある」ということを、データとして示してもらえると、実践する根拠になって励みになることでしょう。

●(人間の体は)あくまで”自然の一部”として成り立っているのであって、自然から切り離されてしまえば、必然的に不具合を生じてしまう。
●本来、私たちの体が切実に求めているはずの”自然との共生”を取り戻すことによって、さまざまな体の不調を解決し、本来の健康を取り戻していこう・・・これが自然療法というものの本質ではないか~
     (p138、「第4章 自然療法が体を変える」より抜粋)

こういう話は昔から耳には入っていながら、「(西洋)医学的ではない」的な感覚が支配してしまってなかなか体感として納得できなかったけれど、最近は割とすっと理解できます。これは、人生経験が豊富になった(=歳をとった)せいなのか、それとも環境がそれだけ一層大きく変わってしまったということなのか・・・。

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感謝のココロ?

脳は同時に相反する情報を受け入れることはできないから、憎しみ、悲しみ、怒り、不平不満といった否定的な感情と感謝の感情とは同時には受け入れられない。不満などは左脳が二者択一の理論で分析している思考だから、何かが起こり不満だという結論を出すまでには0.4秒かかる。そこにあらかじめ脳に感謝がインプットされていればたった0.1秒で感謝という感情が起こるわけだから、不満は感謝のスピードについてこられない。つまり、いつも感謝の気持ちを持ち続けていると、不満や怒りの感情は生まれようがないのだ!

先日facebookの中でそんな話を読みました(驚きの最強思考「赤ちゃん脳」

  感謝を先にするクセをつければ
  不満や怒りなど、否定的な感情は生まれないという。

  つまり、嫌な人やキライな人に会ったときは
  気持ちとは逆に、感謝の言葉を口にするということ。

この世のすべてのものに感謝のココロを持つことの大切さは、何度もいろいろなところで聞いて納得しています。でも、納得はしていても、なかなか実践にならないです。

くそったれーーっ!

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若いのに

「若いのにタバコ吸ってるんだ。へぇーもったいないなあ」・・・うちの病院の職場健診に来る若いスタッフの眼底や胸部レントゲン写真の読影をしながら、ついそんな独り言をつぶやいてしまいました。

いつの間にか、そんな云い方をする時代になったんですね。この酸化ストレスまみれの世の中で、わたしたちの年齢よりも上の連中は、ついこの前まで大したものも食わずに動くしかなかった世代。若いころに巷にコンビニとかいう定価販売の高い小売店ができ始めた(夜の8~10時には閉店だった)。自販機もなかったから夜中は真っ暗だった。光化学スモッグとか公害訴訟とか大騒ぎになったけれど、きっと今より大気汚染は大したことなかった(今は、それが当たり前になったから誰も騒がないけれど)。そんなわたしたちより上の世代は、禁煙しないよりした方が良いけれど、喫煙以外のストレス曝露が少なかったから、禁煙はそう大きな人生の軌道修正にならないかもしれません。

でも、若い子たちは、生まれたときから環境も食べ物もストレスも皆が強大な酸化ストレスの中にいて、その負荷をタバコによって全部倍増させています。昔と違って、あたりかまわず吸うこともできず、妙に後ろめたい気持ちでコソコソと吸わなきゃいけない風潮にどんどんなっていっているというのに、わざわざ災難を背負い込んで・・・かわいそうになあ。知ってしまってから止めるのは大変なエネルギーがいるけれど、最初から知らなければ、それで何にも困らないのになあ。

だから、心から「もったいないなあ」と、思う次第です。

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恩師

卒業以来、ずっと年賀状を出してきた恩師がいる。小学校6年生の時の担任N先生だ。当時、N先生は若かった。まだ独身だった。熱血先生だった。怒ったらビンタを食らわせる人だった。でもいつもはとても優しかった。たしかうちの両親が仲人をしたのじゃなかったか?

そのN先生の奥さまから、昨日、寒中見舞いが届いた。

「新年には年賀状を頂きましてありがとうございました
 昨年四月に 夫 ●● が永眠いたしました
 生前賜りましたご厚情に深く感謝いたします 」

老眼のわたしの目では読み取れないほどに小さな文字で印刷された無機質のハガキだった。

え! ・・・絶句。ちゃんと去年も年賀状をもらった。何が起きたのだろう? 急死だろうか? ・・・いろいろ考えながら、住所録に記録しようとしたら「2001.3 定年」と書いてあった。60歳定年として71歳・・・もうそんなお歳になっていたのか? 何か、そのことの方がはるかにショックだった。

10年前にうちの父が急死した時、翌年届いたたくさんの父宛ての年賀状に返事を書いたことを思い出す。父の教え子の皆さんに何通もお礼の返事を書いたなあ、と。そういえば、同じように毎年年賀状を出している高校の恩師の返事はまだ来てないのでは?とあわてて確認したら1月3日に届いていました。失礼、失礼!

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噛む

昨年末からわたしを悩ませていた胸焼け。明らかに逆流性食道炎の症状であり、実際、職員健診の胃内視鏡検査でもしっかりと逆食の所見が認められました。

なにしろ焼けるんです。痛いほど焼けるんです。朝を食べないわたしが一番苦しむのは午後の健診結果説明時です。大学時代から食道裂孔ヘルニアがあるので、これまでの人生も時々胸焼けが続くことはありましたが、今回が一番ひどいと思います。歳のせいでしょうか。

で、噛むしかないな、という結論に達し、健診の後からとにかく噛むようになりました。ごはんもおかずも、実体が口の中からなくなるまでとことん噛みつくしますのです。なにしろ、飲み込むとすぐに胸焼けがくるので、怖くて簡単には飲み込めないのです。いやあ、数年前に噛むことの面白さや噛むことで知った新しい味に感動したものですが、いつの間にかちょっと疎かになっていました。宙を眺めながら黙々と噛んでいると、いつの間にか箸は置いています。「噛むために箸を置く」は王道ですが、そんなこと考えていたら美味しくないと思っていました。でも、必死で噛んでいたら勝手に置きます。だって、腕が疲れますもの。

「あなた、食べるの早いね」・・・家の夕食のときわたしはつい叫んでしまいました。いつもはわたしよりはるか後に食べ終わる妻が夕食を食べ終わろうとしているのに、まだわたしの皿は半分以上残っているのです。「ああ、これが『味わって食べる』ってことなんだな」と、初めて実感した次第です。

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鍛えられている?

朝からきたない話ですみませんが、先日若干便秘気味だったわたしは便座に座って思いっ切りお腹に力を入れました。そういえば、わたしの大動脈は石灰化してるんだった。血圧に注意しないといけないんだ・・・何となくそんなことを考えたら、ふと数年前の診察室での会話を思い出しました。このブログにも書いたことがありますが、もう一度紹介します。

その男性は、もう何年も高度高血圧が続いていましたが、絶対病院には行かない、と息巻いていました。「これだけ高血圧が続くと、ちょっとしたことで血管が破たんをきたして動脈解離とか脳出血とか起こしますよ」と云ったら、強い口調で反論されました。

「それはおかしい。逆だろ!わたしのような血管は、むかしからずっと高い血圧に耐えて鍛えてきているからいつもより高い圧がかかってもちゃんと耐えることができる。でも日頃血圧が低い血管は、突然高い血圧がかかったらひとたまりもないに違いない!そんなこと、考えたらわかるじゃないか!」

あのとき、思いもかけない奇想天外な理論に唖然としながら「いやいやいやいや」と反論するわたしに、”聞く耳持たぬ”と云わんばかりに勝ち誇った顔で睨んだあの男性の姿が忘れられません。こんな単純な間違いに、どうしてもっと涼しい顔で論破してあげられなかったのか、いまだに後悔しています。

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どうしておちんちんはあるの

先日ほかのことで調べものをしていて、この「学研サイエンスキッズ」というページにたどりつきました。

どうしておちんちんはあるの、男だけにあるの」とか、「どうしておっぱいはふくらむの」とか、ドキッとするような見出しが並んでいましたので興味本位で覗いてみましたが、とてもまじめにうまいこと説明してあるなあ、と感心しました。うちには子どもがいないので、子どもへの性教育に悩むことがありませんが、お母さんやお父さんとしてはわが子の疑問にどう答えたらいいのかしどろもどろになることは少なくないでしょう。わたし自身は子どものころからとてもできた優等生で、そんなことは大人のタブーだから聞いてはいけないことだと悟っていました。だからこんな晩熟の人生になったのかもしれません(笑)。

一緒にみつけたこの香川県のテキスト<幼児の性教育:あんたとこ、どなにしよん?>も工夫されたことばがたくさん並べられていました。

世のお母さん、お父さん。「そんなことは子どもが知らんでもいい!」とか云わずに、うまい説明の仕方を勉強しておいてください。もっとも、最近の子は、いらんところからうがった情報をもらってくるから要注意です。是非、性はすばらしいものだということを愛情をもって教えてあげてください。

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証明写真

資格更新の手続きに証明写真が必要だというので、昨日、コンビニの前にあるスピード写真の機械で写真を撮ってきました。

吹きっ曝しの個室の中で椅子の高さを合わせたり、表情作ったり、何度も撮り直ししたりして、やっとできた写真。車で待つ妻のところに持って行ったら、「わあ、おじいちゃんねえ」と笑われました。たしかに、出てきた写真をチラ見して、「誰、これ?」と自分でも思いました。

証明写真っていつもこうです。自分で、鏡を見ながら写るのに、免許証写真も証明写真も想像している顔が出来上がってきません。家に帰って、洗面所の大きな鏡の前でみせる自分の姿、もっと若くて良い男だと思うのだけれど・・・。それがわかってるから、だからいつも笑い顔で写るようにしています。笑っていると、歳を隠してくれるのです。でも、証明写真で笑っていたら、叱られますものねぇ。

今朝になって、昨日の証明写真をマジマジと見ました。いつの間にこんな下膨れになった?これが”老化”なのかしら? そして、いつの間にこんな左右差ができたのかしら?「片噛みするからかな」と反省していたら、「最近、言葉が出ないみたいだから、脳梗塞なんじゃないの?」と妻。頼む、そういうリアルなことは、思っても口にせんでくれんかのぉ。

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精霊流し

昨夜、NHKのBSプレミアムで、「SONGS」プレミアム~さだまさし第一夜~を何となく観ておりました。さだまさし~わたしの青春時代に、わたしの生き方を支えてくれた詩人。そうか、かれももう還暦を迎えるのか。

番組は、昨年8月に放映されたものの再放送でした。懐かしい歌に盛り込まれた彼の人生が紹介されました。最後に、数年前に亡くなられたお父様の精霊流しの模様がドキュメンタリータッチで映し出されました。「小さな船で良いと思ったのに、仲間たちが許さなかったんですよ。大変ですよ。」と笑いながら先頭を歩く喪主の後ろを、仲間の曳く大きな精霊船がゆっくりと進み、その周りをゆかりの人たちがとりまいて行く。「精霊流し」の儀式を初めて映像で見ました。その後に流れる名曲「精霊流し」・・・わたしのアタマの中で、精霊流しは川に小さな船を流しながら御霊を見送る儀式だけだ、とばかり思い込んでいたから、この歌の歌詞がずっと理解できなかったのです。そうか、こんな華やかな儀式だったのか・・・。

先週末に、知人のお父様が急逝されました。緊急手術とその後の永の別れ、3日間に集約された彼とお父様とそしてご家族と、多くの想いが錯綜したことでしょう。「とき」というものが自分で造り出した概念でホントは実体のないものなのだということを実感した、と語る彼の想いが何となく分かる気がしました。「とき」は止まったかと思えば急に夢の中のように走り去り、あっちへ行き、こっちへ帰り・・・「うつつ」の中で老いゆくカラダの記録と生き様をアタマの中で整理するためにだけ「とき」の観念が存在するのだと、わたしもよく思っています。 各々のお父様のご冥福を祈ります。 合掌。

昨年発刊された「かすてぃら」、ちょっと読んでみたくなりました。

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「いつものことです」

そう云って、明らかに説明を聞き流そうとする人たちがいます。血尿や高ビリルビン血症などから脂肪肝や貧血や不整脈や、あるいは腫瘍マーカー(CEAやPSAなど)まで、いろいろな項目で、10年以上前から異常(要再検、要精査、要治療など)だと云われているけど症状もないから指示を無視しているひとたちです。生活習慣病に対する指導も毎年云われてうんざりしてることでしょう。精密検査もこれまで何度も受けさせられるけどほとんど異常はない。くすりを飲むほどでもないし、でも定期チェックを受けなさい、と変わり栄えしないアドバイスをもらって病院を後にすること数回。さすがに「面倒くさい!」と思って当たり前だなと同情するヒトもたくさんいます。

ただ、健診でひっかかる異常は、単にその年だけのことではなくて、たとえば例年の異常値に比べて著明に悪化している場合とか、同じ「肝機能異常」でも今回ひっかかった項目がいつものとは全然違う場合、あるいはNASHなどのようにあるべきでない所見がもう何年も続いている場合など、「いつものこと」で片づけるわけにはいかないからあえて紹介状をつているケースが少なくありません。

健診でひっかかる異常所見、それは「体質」だけで片付けるわけにはいかない、体内からの最終警告の場合もあることをお忘れなく。そしてその多くが無症状だということ。・・・と、マジメに伝えたいのだけれど、「はあ、もういいよ、いつものことなんだから」とふてぶてしい態度を取られると、カチンときてしまう未熟なわたし。意地になって責めあげた挙句にケンカ腰になって凹んだり、あるいはどうせ自分のことじゃないし、とさっさと投げ出してしまって後悔したり・・・。あーめんどくさい、って思わないようにはしているんですが。

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しらじらしい

中性脂肪が260を超えるようになってきましたね。γ-GTPも60程度が続いています。脂肪肝の所見もないですから、一般的にはやはり飲み食いのし過ぎですね。

え、年末年始に宴会が多かったからじゃないかって?まあ、その可能性は高いですけど、それはつまり、アタマはお酒を欲しているけれどカラダは「付いていけません」と宣言しているようなものですから、酒飲んじゃダメ、ってことにしかなりませんよ。

あと、今年はLDLコレステロールが上昇して、とうとう174までになりました。HDLコレステロールも90近くあるのであまり問題にはならないとは思いますが、HDLが例年と大差ないのにLDLだけがここ数年徐々に上昇しているのは問題です。食べすぎなんじゃないかと思います。単純にアブラ抜き=「精進料理だけ食べてください」ということですね。LDLが高いのは体質の可能性もあるのですが、5年前には135でしょ。ということは、体質じゃなくて、「やればできる」ってことですよね。

体重も3kg増えましたし、腹囲も3㎝増えましたね。食べなくても生きていける体質ってことですね。現代社会には向かない体質で大変ですけど、頑張ってください。

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わたしがいつも受診者の皆さんに話していることをそのまんま並べてみましたが、これは、今年のわたしの職員健診の結果に対する指導シュミレーションです。だからここ数日、わたしの仕事中の説明トーンの低いこと低いこと。だって、自分ができていないのに他人を諭すのはさすがにちょっと白々しいっす。

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80円切手

懸賞応募はがきに「50円切手を貼ってください」と書かれていました。

机の引き出しの中を探したらお年玉付き年賀状で当たった切手シートの束がありました。最近の切手シートは<50円切手+80円切手>で1シートになっています。良く見ると、その中にすでに50円切手だけ抜き取ってしまったシートが数枚ありました。今回のように必要に迫られて使ったのでしょう。たしか「わざわざ記念切手シートを使わなくてもいいじゃない!」といって、その都度妻に叱られた記憶があります。「何枚もあるんだからいいじゃない?」と思いましたが、その後からはこれを使わないようにしていました。

探しましたが50円切手が見当たりません。やむを得ず、穴の開いた切手シートの相方=80円切手を切り取って貼りました。使ってしまって外側を捨ててしまえば気づかれまい!と悪知恵が働いたのです。50円切手を貼るところに80円切手を貼るなんて、妻にとっては言語道断でしょう。「もったいない!」と必ず云われます。でもね(このコトバがいかん!とまた叱られます)、このタダでもらった80円切手と、改めて50円で買う50円切手とどっちがもったいないか?考えたらわかるやん!と思うわけです。そんな口ごたえはしたくないので、こっそり処理しました。だって「だったらそんなしょうもない懸賞に応募しなければいいじゃない」って云われるのが目に見えているから(汗)。

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「分別はアンチエイジングの最大の敵」

もうひとつの団体の機関誌の連載コラムはもうしばらく続きます。1月号が発行されたので、転載させていただきます。

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「分別はアンチエイジングの最大の敵」

我が家の14歳になる老犬ベルは、散歩のとき以外はいつも寝ています。耳も聞こえなくなってきました。歳を取ったなあと思います。そんな彼女自身が、歳を取ったと実感し始めたタイミングはいつだったのだろうか・・・先日、スヤスヤ寝息を立てている彼女を眺めながら、そんなことをふと考えました。

実は、彼女は4年前までは小娘のように飛び跳ねていました。彼女の父親犬が今の彼女の歳に肝腫瘍で亡くなるまで、父ちゃんに見守られながらいつも好き放題にあちこちでちょっかいを出して回っていたのです。10歳とは到底思えないフットワークと身のこなしでした。彼女は生まれたときから父親が一緒だったから、突然ひとりになると一気に歳を取るかもしれない、と心配したわたしたち夫婦は、父親が亡くなった5か月後に同じブリーダーさんからベイビー犬を譲ってもらいました。思うに、ベルが突然歳を取り始めたのはその頃からのような気がします。最初は新参者と勢力争いをしていましたが、徐々に表立った喧嘩がなくなり、共存を始めました。その頃から、あんなに小娘だった彼女が急速に分別ある大人に変わっていきました。自分より年上と一緒に生活しているといつまでも子どもでいられたのに、はるかに年下を目の当たりにして今まで自分が錯覚していたことに気づいてしまったのでしょう。それが彼女のカラダに突然老化スイッチを入れた瞬間・・・彼女を歳取らせた張本人はわたしたちなのかもしれない、悪いことをしたなと自責の念に駆られています。

この“分別はアンチエイジングの最大の敵”はもちろん人間にも言えることです。「歳甲斐もなく」とか「いい歳をして」とかいうことばを無意識に使い始めるとき・・・そのことばを使い始めるきっかけは何でしょうか。お孫さんが「おじいちゃん」と呼んだ瞬間でしょうか。会社で管理職に昇格したときでしょうか。子どもがいなくていつまでも出世しないわたしなんか、いまだに若いスタッフとお友達だと思い込んで、キャッキャ、キャッキャと騒いでいます。だから、「カラダ大丈夫ですか?無理しないでくださいね」と声をかけられるとちょっとカチンときます。「分別くさい人間になるな!」「いつまでも若造だと思い込め!」・・・他人に言いながら、自分にも言って聞かせている私は、まだ今年の4月で55歳です。いつまでも錯覚して生きていきましょう!

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「腎臓が悪い」と突然言われたあなたへ

定期コラムの連載もこれを入れて残り2回になりました。新年号が発行されましたので転載します。

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「腎臓が悪い」と突然言われたあなたへ~CKDからのメッセージ~

このシリーズをずっと読んでいただいた方にはわかると思いますが、メタボリックシンドロームとか正常高値血糖とか正常高値血圧とか、今まで“予備群”どころかほぼ“正常”のくくりにあった概念が突然“病気”扱いになってしまいました。CKDもまたそんな流れで生まれてきた概念ですが、まだまだ巷の混乱が落ち着いていない感があるのでちょっとだけ触れてみます。

●腎臓のしごと

左右二つ、腰の少し上に位置する腎臓の主な働きは、血液をきれいにろ過することです。それによって水分や電解質・ビタミンなどの調節をしながらからだ全体のバランスを保ちます。腎臓は小さな『ネフロン』という単位が約10万個集まったもので、ネフロンは血液をろ過する組織である『糸球体』と、ろ過によって濾し出されすぎた必要物を体内に再吸収する『尿細管』で構成されています。腎臓の働きを表す指標にGFR(糸球体ろ過量)があります。これは糸球体で1分間に何mlの原液のおしっこ(原尿)をろ過する力があるかを示すもので、ふつうは1分間に100mlくらいです。

●CKDの正体

CKDはChronic Kidney Diseaseの略で、日本語名は『慢性腎臓病』です。腎機能を示す値としてクレアチニン値がありますが、毎年の健診で「腎機能(血中クレアチニン値)が正常だ」といっているのに人工透析に向かっていくタイプの人がいます。腎機能低下は進行性で有効な薬もないのが現状なので、そんな人たちを早く見つけて早めに対処するためにCKDの考え方が健診に導入されました。糸球体のふるいの網目は年齢や生活習慣によって少しずつ目詰まりしてGFRを低下させますが、1分間に60ml未満になると低下に加速がかかり、10~15mlになると人工透析が必要になります。ですから、GFR 60ml/分前後の人に今のうちから生活の見直しを始めるよう働きかけるわけです。ちなみに、熊本市は全国1~2位を争う透析都市ですので、市を挙げてCKD対策に強力に取り組んでいます。

GFRは腎機能の現在を把握して未来を予想するのにとても優れた指標ですが、正式に求めるには蓄尿が必要です。そこで、健診で簡単に得られる値(年齢、性別、クレアチニン値)を計算式に入れるだけで得られるGFRの概算値=eGFR(糸球体ろ過量推算値)が使われます。最初は欧米人用の式でしたが、すぐに日本人用の推算式に訂正されました。単なる計算式ですので、現在はほとんどの健診結果に表示されていると思います。

●幽霊に怯えすぎないように

ところが、健診でこの値を出すようになって、インターネットなどで調べた挙句に、「自分は人工透析になるかもしれない」と悩み始める人が出てきました。あるいは保健相談や医師の結果説明で腎機能低下だと言われ、腎臓は治らない、透析になる・・・という思考の負のスパイラルから逃れられなくなってしまう人。説明する側も、基準からちょっと外れただけで重篤な病気に落ち込むかのような“脅し”の空気。eGFRはクレアチニン値の影響が大きいのでちょっと脱水になると低下し、単に1つ歳をとるだけでも下がります。あくまでもアバウトな目安ですので、血中クレアチニン値が正常範囲内なら、「腎臓の働きはまずまずだけれど、予備力が若い時より落ちてきたから今のうちから食事に注意しましょう」という呼びかけでしかありません。この値が60を切るなら腎臓を守る生活管理に気合いを入れ、50~40を切るなら専門医の元で正式な機能評価を受けたり、隠れた腎臓の病気がないか調べてもらう流れです。

健診現場で見かける大部分のCKDの治療は食事療法が主体です。ところが、この値を必要以上に気にする方は、日ごろから血糖や血圧管理のための厳密な食事療法をきちんと行っている人が多く、今さらそれ以上修行僧になる必要のない人。一方、このまま乱れた人生を送っていると人工透析になるぞ!と喝を入れたい人に限って、意図的に(?)目を背けて聞き流す素振り。健診におけるCKDは、甘く見ると危険なので事実は事実として把握すべきですが、逆に深刻になりすぎると本末転倒です。今の自分の腎機能の程度を知る目安としてうまく利用してもらいたいと思います。

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寄生虫とアレルギー

『そもそも、すべてが「体質」のせいなのか』(大塚吉則著、Medical Tribune)には、冒頭の章に、「寄生虫とアレルギー」の話が載っていました。寄生虫を徹底的に駆除した結果としてアトピーや強いアレルギー疾患が急増した、という話。

”変わり者”のわたしは、もうかなり前からこの話は知っています。その通りだろうなと思って生活を注意して生きてきました。外敵からカラダを守るために備わっているのが「免疫システム」ですが、現代はそれが過剰反応をして本来は敵でもなんでもないものを敵と判断してしまっている。その原因が過剰なまでの除菌と清潔教育である、というわけです。理解できているでしょうか? そう遠くないむかし、寄生虫と普通に共存していたころ、体内にいる寄生虫のために大量の抗体ができていました。この寄生虫に特異的なその抗体によって大きな病気になることもなく寄生虫と共存していたわけですが、いつも大量の抗体を持っていたがために他の物質に対する抗体を作る余裕がなかった。だからむかしは必要もなく免疫反応を起こすこともなく、アレルギーやアトピーがほとんどなかった。ところが寄生虫が完全排除され、それ以外の腸内常在菌もことごとく駆除された結果、仕事がなくて力を持て余している免疫システムが、暴走してだれかれ構わず攻撃し始めている・・と、そういう話です。

清潔すぎることが人間を亡ぼすというのは、わたしがずっと抱いている大きな懸念です。

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温泉医学と自然治癒力

『そもそも、すべてが「体質」のせいなのか』(大塚吉則著、Medical Tribune)を読み始めましたが、さらっと読んでホッと胸を撫で下ろしました。そこに書かれていることはわたしにはすごく当たり前のことばかりだったからです。

「体質(遺伝子)は変えられないから諦めるしかない」というのではなく、遺伝子にはスイッチがあって、それをオンにするかオフにするかが環境や生活習慣なのだ。それらを見直して、本来持っている「自然治癒力」を引き出してやれば体質の発現を抑えられるのだ。それに「温泉療法」は有効だし「東洋医学」の考え方が重要だと、そんなお話のようです。

「人は単なる細胞の集合体ではない」
「人間は、あくまでも自然の一部である」
「全体のバランスが壊れたことが病気の原因である」
「あなたの病気を治す薬はありませんが、あなたの身体を治す薬はあります」

わたしのブログの読者の皆さんにはお分かりでしょうが、この本の中にはわたしと同じにおいがプンプンしているのを感じます。

「体質改善とは体を本来の姿に戻すこと」だという最後の〆のことばがグッドだと思いました。

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寒いとオシッコが近いのは?

年末年始の寒さときたらちょっと普通ではありません。脚の神経痛も出てきてココロ穏やかではありませんが、もう一つ、わたしの悩ませているのがオシッコ。何しろヘタをすると1時間ごとに尿意を催して毎回大量のオシッコをしてしまいます。夜も同じ頻度で起きて睡眠不足になったり・・・。

一体どうして寒いとオシッコが近くなるのでしょうか?分かっているようでよく分かっていないこの理屈。たぶん複雑な自律神経系と体液系ホルモンのなせる技なのでしょうが・・・。

●汗で出す水分量が冬は少なくなるから、オシッコで出して水分量調節をしている・・・ま、そらそうだな。それくらいはよく分かる。

●膀胱がいっぱいになって筋肉が緊張すると脳から”尿意”の指令がでるわけだが、寒いと膀胱の筋肉が縮んですぐに緊満状態をつくる。だからあまり溜まってなくても行きたくなる・・・これはわかるけど、毎回大量のオシッコが出るわたしには納得不可。

●体が冷えると、寒さから皮膚の表面を守ろうとして血液量が増え、その分、腎臓の働きが活発になって尿が大量にできるようになる・・・ほう、なるほどなあ(と書きながら、今一つ理解できていない)。

人体の働きの中で、わたしが一番複雑怪奇で難しいと思うのが、腎臓です。諸般の成書を読んでも、あるいは一般向けの解説書を読んでも、さっぱりわかりません。誰か、わたしに分かりやすく説明してくれる腎臓の専門家はおられませんか?

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「体質」

Medical Tribuneの年末最後の号にその本の告知がありました。

『そもそも、すべてが「体質」のせいなのか?~自然治癒力を引き出し幸せになる方法』(北海道大学 大塚吉則教授著, Medical Tribune)

生活習慣病は「体質」の病気です。運動不足や偏食が誘因だとしても、同じことをしていても病気になるヒトとならないヒトがいる。それはもともとご先祖さまから引き継がれた自分の「体質」なのだから、あきらめてください。理不尽だと思わずに、できるだけ早くから生活を修正してください。

わたしは講演でいつもそう語ってきました。さて、これは間違いなのか? 「体質改善」は生活習慣病を克服できるのか? とっても興味があります。早速amazonで注文したら、昨日届きましたので、ちょっと読んで確認してみます。

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黄金比率

お正月に酔った勢いでキノシタさんにダメ出ししてしまいましたが、実は画像修正の件は、最近とても気になっていることのひとつです。

年賀状は一番分かりやすいですが、そんなプライベートなことだけではなく、業績報告書やパンフレットなどでも、自分で画像修正してページアレンジをするのが普通です。これだけのものをこのページに詰め込みたいということがまずあって、そこに詰め込むためには縦に縮めたり横に縮めたり簡単にしてしまうようですが、みなさん、そういうの気にならないのでしょうか?全体を単に大きくしたり小さくしたりするのではなく、本当の写真の比率を少しでも弄(いじ)ってしまったら、その時点でその写真は偽物になってしまう。写真だけではありません。せっかく作ったグラフや表までも黄金比率(真の比率)を壊してページレイアウトしている人をよくみかけますが、それで満足していていいのでしょうか。

自分の記録を作っているのではありません。他人に見せるために、読んでもらえるようなページレイアウトを考えるとき、全体の見栄えよりも内容を重視してもらいたい。一見枠内にきちんとおさまっているように見えて、よくみると写真がぴっしゃげていたり、文字がつぶれてしまっていたりしていたら全然意味がないじゃない? 文章の校正をしていて、よくそういうダメ出しをするのですが、あまり分かってもらえません。

もっとも、だからと云ってほとんど読み取れないような小さな文字(デジタルになって、どこまでも小さくできるようになりました)で書かれるのも、ちょっと。

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「末吉」

第九八番 末吉

●運勢

いまたいへん勢いがつよくて力み過ぎる傾向がみえます。勢いにまかせてこのまま進むと大きな壁にぶつかり大きな反動を受ける結果になりかねません。ここは自ら一歩下がって、何事も慎重に処することが大切。力まかせに進むばかりが能ではない。せっかくの実力を生かす時期と方法を一考する時です。

●仕事・交渉・取引

事によると、決まった後に問題が起こるかも。採算面もここで見直してみよ。
計画を練り直す必要がある。

●愛情・縁談・恋愛

「あばたもえくぼ」。ここで結論を出すと後悔する。相手の本質を見定めよ。縁談は長びくとまとまらない。

●健康・病気・療養

日頃丈夫だと無茶をしやすい。暴飲暴食に注意すること。病気はもう一度、医師の診断をあおぐこと。

●学業・技芸・試験

勇み足で失敗する疑念がある。謙虚に実力を反省し、努力を積み重ねよ。雑念を振り払うことが大切。

++++++

今年、阿蘇神社で引いたおみくじは「末吉」でした。今年が良い年でありますように。

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Asian Dustと脳卒中

絶対カラダに悪い!と、九州の人間は実感しています。それも、昔に比べて最近になればなるほど質が悪くなっていること、絶対あれは大陸の某大国が無頓着に吐き出している工業廃棄物や未知の化学物質に違いない!ということ、それは理屈ではなく体感として、カラダが素直に反応しています。花粉よりはるかにタチの悪いもの=『黄砂(Asian Dust)』。でもそんなことを公に口にしようものなら、すぐにイチャモンだ!と叫ばれるので、陰でこっそり云っていました。

そんな中で今回、九州大学から『黄砂でアテローム血栓性脳梗塞リスクが上昇』という研究が報告されました(Stroke 2012;43:3085-3087)。黄砂が飛来する地域住民のアテローム性脳梗塞の発症リスクが有意に上昇しており、越境大気汚染物質(こんな表現があるんですね)が脳梗塞発症に影響を及ぼしている可能性がある(何か、この言い回し、ものすごくあちこちに気を遣っています)という報告をしたことの意義は大きいと思います。浮遊粒子状物質が呼吸器疾患だけでなく、酸化ストレスや炎症、動脈硬化の進行などに影響を与えることは容易に想像できます。

もっとも、だから何?と開き直られても困る。何せ、自分の非を認めない某国からの”越境大気汚染”だから、唯一の対抗策は、黄砂が降っているときには家を出ない、ということくらい?よく映画で出てくるところの”近未来”世界のそれ。悲しい現実であり、深刻な問題です。そういえば「光化学スモッグ」ということば、まるで死語だと思っているひともいますが、実は逆に普通のことばに埋もれて目立たなくなっています。アトピーやアレルギーが尋常じゃないほど増えている理由は明々白々・・・。

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リセット&リスタート

あけましておめでとうございます。

年末に、家の中の掃除をしました。半端なく、とことん捨てました。実は、仏壇のある小さな書斎を冷静に眺めたら部屋中がモノだらけで、まるで倉庫か物置の中に仏壇があるようにみえて愕然としたのです。我が家で20年来溜まってきたモノを勇気をもって思い切って捨てまくりました。壇シャリ。あん?違う違う。「断捨離」ですね。東京に居たころから購読していた犬の月刊誌は100冊以上あるでしょう。もったいなくてなかなか捨てられませんでした。処分できずにしまっておいた年賀状も10年分近くありました。家電やパソコンの入っていた段ボール箱を”いざというときのため”にとっておりましたら、スペースを無意味に占領していました。

思い出の品やもらい物や・・・全部捨てました。思い出もしがらみも全部合わせて一掃です。気づいたら、我が家の玄関にはまるで引っ越しでもするのかといわんばかりの「ゴミ」が山積みになりました。「大事なモノ」が「ゴミ」になる。 ・・・すっきりしました。

今年は、リセット&リスタート!

そんな気持ちで新年を迎えました。すみません。年賀状は大晦日に何とか出しましたが元旦には間に合っていないと思います。年賀状には、こんなことを書きました。前もって告知しておきます。

今年もよろしくお願いします。

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