自己採取
「今度新しい健診施設と契約をしようと思うのですが、子宮がん検診に『自己採取』と『医師採取』を選ぶようになっているのです。この『自己採取』って信憑性があるのでしょうか?」
わたしが産業医をしている企業の保健師さんから問い合わせがありました。こんな仕事をしているのに不謹慎なはなしですが、実は「自己採取」なんて方法が存在することをこの時初めて知りました。早速、婦人科医に聞いてみたら、一笑に付されました。
「まあ、大量のがん細胞が溢れていて零れ落ちている状態なら自己採取でも陽性になるでしょうけど、早期がんを見つけようとするならよほど偶然にそこに当たらないとダメ。しかも変性している古い細胞を採取する可能性も高くて、それを顕微鏡で見ても本当の姿はわからない」
恥ずかしい場所だから、自分で取って出してがんの有無が分かるなら一番!と思う気持ちはわかりますが、やはり熟練した専門医の手で気になる場所をきちんとピンポイントで取ってもらわないとお金と労力のムダだと云えましょう(婦人科医と云っても実はピンきりです。生まれて初めて検査する日はどの医者にもありますから)。でも、そんな不確実な方法が、今でも普通に堂々と行われているのはどうしてなのでしょう?医師不足であり、健診施設としても医者が居なくてもできる検査だから数多くできるし、安くできるし・・・なのだと思うのですが、相手は”がん”です。その不確実な方法で、早期がんを進行がんにしてしまう可能性がとても高く、むしろ検査を受けていないヒトより厄介です(検診を受けて「異常なし」だったと自信をもってしまいますから)。今は、数をこなす(受診率を上げる)ことを主目的にする時代ではなくなっていると思うので、とても危機感を感じました。
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