« 試練 | トップページ | バーボン »

日頃を知る

「先生、ちょっと来てください。受診者さんが気分不良を訴えていて、心電図を取ったらものすごく異常なんです!」

フロアマネージメントをしているナースから電話が入りました。駆けつけてみるとベッドに横なった受診者さんを取り巻くように数人のスタッフが立っています。ちょっと吐き気があったそうですがもう落ち着いたとのこと。でも、透析の歴史が長いその方の心電図を見たら広範囲で著しくSTが低下していました。「これは重症の虚血発作ではないでしょうか。早く救急外来に連れて行った方が良いのではないでしょうか?」・・・心電図を取ってくれた検査技師さんが色めき立っています。

何となく違和感・・・ご本人の表情、心電図波形、病歴・・・まだ電子カルテになる前のことでしたので手元には分厚い外来カルテが取り寄せられていました。そこで、「外来カルテに入っている最寄りの心電図を出してください」と指示しました。やはりそうです。1か月前に取った心電図の波形、あるいはその1年前のそれと今日の心電図の波形、なんら変わりはありません。そこにある派手な心電図異常の波形は長い透析の歴史の中でできあがった左室肥大の波形であって、今まさに心筋梗塞になろうとしている重症虚血発作の波形ではありませんでした。

心電図は日頃と比較する・・・それが基本です。そのためには日頃のそれがなければいけません。この受診者さんの場合はたまたま透析に通っていたら良かったけれど、多くの皆さんは異常があったときにしか病院に行かないので日頃のそれを持ち合わせません。何もないとき・・・それが健診です。会社で受けるごく簡単な法定健診でも心電図はあります。あんなもの受ける意味がないという人もおりますが、是非定期的に受けてください。そのコピーを持ち歩いていると、さらに完璧です。

|
|

« 試練 | トップページ | バーボン »

心と体」カテゴリの記事

コメント

うちの息子も「もっと早く病院に行ってたらなー」って言ってました。

経験しないとわからないんですよねー

だから経験した者は、伝えていかないと!…です。

今、息子は、リハビリを兼ねて専業主婦をしてくれています。

仕事から帰ると焼きたてのパンが待っています。

なんとなく幸せです。

投稿: takako | 2013年3月27日 (水) 16時29分

takakoさん

さすがに、網膜剥離は予見は難しいし、知らないとなかなか病院には行きませんよ。私だって、きっと「何か変」と思っても「様子をみよう」と思いますもんね。
息子さんのパンは本業ですもんね。行列ができる店の出張販売と同じじゃーん!うらやましい!

でも専業主夫(主子かな)ですね(笑)

投稿: ジャイ | 2013年3月27日 (水) 21時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 試練 | トップページ | バーボン »