インスリン分泌不全が改善する?
2013年4月16日のMTProに出ていた「Doctor's Eye~衝撃!身体活動量はβ細胞機能にも影響?!」という北里研究所病院山田悟先生の記事には、わたしも衝撃を受けました。身体活動がインスリン抵抗性の改善だけではなくインスリン分泌機能にも影響を与えることが示唆された研究が報告されたのです。
この研究はインスリン抵抗性やインスリン分泌不全といった糖尿病に関わる遺伝子の検討をするためのコホート研究(betaGene研究)の一環として行われ、メキシコ系米国人の妊娠糖尿病既往者とその兄弟・いとこを対象に日ごろの身体活動量と諸般の検査データとを比較検討したものです。
・女性は低活動、男性は中等度活動が半数を占めた。
・活動量が高いほどカロリー摂取量は増加していた。
・oGTT検査結果では活動量が低いほど血糖値が高く、インスリン値も高い。空腹時でも2時間後でも同様である。
・活動量が多いほどインスリン感受性が良くなるとともに、β細胞機能や血糖に対するインスリン分泌増加反応も高くなった。
山田先生が最後に考察しているように、戦後の糖尿病患者の増加が身体活動量の低下と脂肪摂取量の増加によりもたらされたという仮説のうち、脂肪摂取量増加との関連は否定されたようですが、身体活動量の減少がそれだけで本当にインスリン抵抗性とインスリン分泌不全の両方の原因になりうることを示したことは意義が大きいと思います。
むしろわたしは、もはや持って生まれた体質だからしょうがないとあきらめていた由緒正しい家系の皆さんに対して、その体質は運動によって変えられるかもしれないと云えるデータであったことがすばらしいと思って山田先生の解説を読みました。
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