思い入れ(後)
(つづき)
建て直したのはわたしが高校2年の年でしたので、今の家で生活したのは2年弱です。だから家そのものにはあまり思い入れがありませんでしたが、大学時代以降のわたしの写真の中にはたくさんの家の写真が残っていて、いつも家族や友人と満面の笑みで映り込んでいます。思い入れがなかった家でしたが、この歳になって半年間、ひとりで何度も家中を動き回ってみているうちに、端々の小さな小キズや汚れた床のひとつひとつに込められた思い出が呼び起こされていきました。二階に集めていた小物や、捨てるに捨てられず倉庫に投げ込んだままだったむかしの農機具や戸棚など、何もかもを捨てました。仏壇の魂抜きもしました。正直なところ、壊して更地にするかアパートに建て直すかと思案したこともありましたが、素人の浅はかな頭では行動に移すまでには行けませんでした。
汚れた壁や朽ち果てた玄関扉を塗り直し、屋根や天井板の修理をし、水回りをいじって、シロアリ駆除をしました。全体像として10年前の姿に戻った感じはしますが、もはや半年前と明らかに違う印象が感じ取れます。今ひとりでじっと佇んでいても、そこに「何も居なくなった」ことが分かるのでちょっと感傷的になります。思い入れだらけだったであろう両親の空気がいつの間にか無機質に消えていったことを感じました。
わたしの一存で、こんな形で残すことにした”我が家”ですが、お父さん、お母さん、これで良かったのでしょうか。
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コメント
我が息子よ!
よかたいヨカタイ
草葉の陰より
代筆 asuka3h 拝
投稿: asuka3h | 2013年4月12日 (金) 16時27分
ありがとうございます。
いつもよりちょっと多めに念仏唱えておきます。
投稿: ジャイ | 2013年4月12日 (金) 21時50分