« おふくろの味 | トップページ | 雑 »

遺伝子検査

ヒトゲノム解析が完成し、遺伝子検査をすることでオーダーメイド治療ができるようになった・・・医療の現場ではそのことがあたかも画期的な福音であるかのように云われてきました。がんになりやすい遺伝子や生活習慣病/動脈硬化になりやすい遺伝子の有無を知ることができれば、一律にムダに厳しい予防生活をしたり、必要以上に病気を恐れたりすることもなく、より効率的な治療ができるというのです。

わたしはそのニュースを読みながら、「だから何?」と思っていました。自分の未来予測の遺伝子解析をしてもらったところで、結局は定期的に健診を受け、日々の生活習慣を改めるしかないわけで、高い金を払って遺伝子検査を受けることは究極の自己満足、あるいは”バブル期の遺産”と思っていました。

ですから先日、某有名女優が、遺伝子検査の結果として乳がんになりやすいことが分かったからという理由で自分の乳腺を惜しげもなく予防的に切除した、というニュースを知ってわたしは耳を疑いました。遺伝子検査というのはこんな形で使われるものであったのか?自分の体質ががんになりやすい家系の血を綿々と引き継いでいるから、罹る前に取ってしまう、「それが究極の予防だ!」という発想・・・賛否両論あるでしょうが、残念ながらわたしには付いていけません。それは、「予防」と呼んではいけないような気がするから・・・。そこまで行くとやはり生命への冒涜なのではないか、と。もちろん、がん罹患への恐怖感に直面している当事者たちにとってはまさしく”背に腹は代えられない”究極の選択なのだろうとは思いますが、何か違う気がしてなりません。

|

« おふくろの味 | トップページ | 雑 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

主治医先生の仰せの通りと、私も常々考えております。

生き物は「一寸先は闇」だからこそ「楽あり苦あり」で
無我夢中で「生きる」事が「宿命」です。

はたして神仏の描いたストーリーになっているか否かは
描いた方々の領域で有り、「出演者」が物言える筋合いでは無いと考えられます。
(スミマセン、演劇を志した先生に失礼)

私共は何の予知予告も無く、ある日に数百年、数千年に一度と言う大震災を好むと好まないに拘らず体験させられまして、3万人近くの命を奪われ、100万人を超える被災者が発生いたしました。

もし、何等かの術で予知予告がなされても「運命・宿命」は変えられず、避ける事は出来ないと思います。

私も母親譲りの「心臓病」を背負っていますが、やはり「運命・宿命」と思う以外に術はありません。

先般、循環器検査の医者は「よくこの状態で今迄生きてこれた物だ! 突然死の可能性があります」と、のたまいますが、私は「でも、この年まで入院経験ゼロで生きて来たのだから、上手くすればあと10~20年も生きるかもしれないよ」と反論したところ「それは否定出来ません!」と、ヌケヌケと逃げやがりました。

幾ら命乞いをした所で、津波にさらわれ「魚の餌」になってしまえば「ハイ・ソレマデヨ~」・・・未だ5千人以上が「行方不明」状態です。

マ、かと言って「風の向くまま、気の向くまま」では具合は悪く、神仏からも見放さされてしまいますが・・・

                   悟りとは程遠い asuka3h 拝

投稿: asuka3h | 2013年5月29日 (水) 11時14分

asuka3hさん

一体asuka3hさんのその難病は何なんでしょう?拡張型心筋症とかかしら?まあ、専門医にしてそこまで言わしめるのだからよほど動いていない心臓なのでしょう。だとすると、やはり今まで元気でやってこれているのは、asuka3hさんが無類の医者嫌いで、一流の天邪鬼で、そして水の専門家だからでしょう(笑)悟りを開いたら終わりですからあまり改心されませんように(笑)

とんでもない医者ですね、わたし。

それでもやはり、ご本人の書かれた通り、ケッセラセラだけでは通用しない体調をご自覚され始めたのだと推察いたします。どうぞ、ご自愛ください。

投稿: ジャイ | 2013年5月30日 (木) 06時27分

「リスクがあるなら除く」…。では生きることは「死ぬリスク」と表裏一体ですからもはや死ぬか「マトリックス」のようにバーチャルの世界に生きるしかありませんね(笑)。
 乳房と取ることに関しては何とも言いがたいですが、自分としてはそこまでして生残って何をするかの方が問題です(笑)。
 以前キュブラ・ロスの自伝を読みましたが、命の危機にさらされている人達こそ、癌に罹患した方々こそ、命とは何かを説いてくれるような気がしてならないんですが。

投稿: コン | 2013年5月30日 (木) 23時11分

コンさん

こんばんは。
実際に乳がんで苦しんでおられる方を何人も知っています。手遅れだった方も少なくなく、だから検診の啓蒙を続けているわけです。彼女たちにとっては、どうして自分が?の思いは強いと思いますし、前もってリスクを取り除くチャンスがあったのなら取り除いたかもしれない、と思う人はいるのだろうと思います。少なくとも自分の娘にはリスク軽減と定期チェックを勧めるだろうと思います。自分ががんになる危険性が高いと分かった時、それを有効に利用できるかあるいは恐怖で潰されそうになるか・・・くだんの女優さんは後者だったのだろうと推察します。

投稿: ジャイ | 2013年5月31日 (金) 01時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« おふくろの味 | トップページ | 雑 »