エスカレーター
1年前から自分の講演でよく使っている一枚の写真スライドがあります。
アメリカのあるフィットネスジムのエントランスが2階にあって、そこに上っていく場所付近の写真です。アメリカ人らしい太ったおじさんが2人、タオルを片手に上っているのですが、中央に大きく配置された階段に見向きもせず、二人とも脇にあるエスカレーターを使って上っています。わざわざダイエットの目的でフィットネスジムに着ておきながら、最初から階段を使わずにエスカレーターを使う・・・ここに人間の性があります。「人間には運動欲がないからしなくていいことはできるだけしたくない」の典型的な光景です。という説明をするために作られたスライド・・・これを話すと必ず場内がドッ沸き、その後にお互い顔を見合わせながらザワザワと苦笑いをする空気になる・・・場を和ませる鉄板アイテムです。
でも、実はこの写真の真実はちょっと違うのだと思います。彼らはエスカレーターを歩いています。ただボーっと立っているのではなく歩いています。できるだけ早くジムに行きたいからこっちを使っているのだと思います。こんなところに来ているのを外から発見されたくないのかもしれませんし、人気のマシンに予約が殺到するかもしれないから、あるいは予約時間に遅れそうだから、などいろいろ理由は考えらえます(それなら階段を走って上がればいいじゃないか!と他人事のあなたはそう云うかもしれませんが)。つまりこれは必ずしも運動嫌いの行動というわけではないと気付いてしまったので、とてもおいしいスライドですが、そっと除けることにしました。
ちなみに、都会の長いエスカレーターでは一列に立っているヒトたちの横を足早に歩いて抜いて行くヒトがたくさん居ます。「忙しがり屋さん」とか「多動症児」とわたしが陰でこっそり呼んでいる人種の方々ですが、彼らもこの移動で無駄な時間と労力を費やしたくない、と思っての行動なのだろうと推測されます。
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