「十七歳だった!」(2)
ただ、読んでいくとなかなか面白い。20年前でそうなのだから、もはやほとんどが夢の中のような高校時代。「青春とは大きな誤解だッ!」という著者にこっそり頷く。意味もなく自信過剰で何となく世間の皆が自分を見ている錯覚に捕らわれていた・・・もっとも、わたしの場合はそれは高校時代ではなくて大学生になってからでした。「晩生」というよりも、とにかく高校時代は自分に自信がなかったのです。中学の部活を卒業してから20キロも太り、それでなくても田舎坊の慎み深い風貌が一層地味になり、友人と映画を観に行くとき以外は完璧なる帰宅部で、帰って勉強机に向かうもののついつい悶々としたカラダに反応して、気づけば全然違う雑誌を広げている、そんなむっつりスケベな高校時代でした。それでもちょっと学生帽を目深にかぶって格好つけてみたり、噛んでもいないガムをエアークチャクチャやってちょっと不良さん気取りしてみたり、そんな背伸びもしてみました(だーれも気づいていない、というか見てもいなかったと思うのだけれど)。
自信過剰だったわたしの大学時代のことはむかしここに書きましたが、若干のアレンジは必要だけれど、この本に書いてある内容はわたし的には大学時代のそれと重なることが多かった気がします。それでも完全に色あせています。これを書いている今が二日酔い気味のためにアタマの中に靄がかかっているというのではなく、何もかもが薄れかけた夢の中の出来事のような感じです。縁あって、中学時代の同級生とはいまだに事あるごとに会っていますから、中学時代だけがどんどん鮮明に色付いていきますが、その他の青春時代は青色どころか見る見るセピア色に変わっていきます。引き出しから引っ張り出す機会がないと、見ることのない昔の押し花の標本か子ども時代に買ってもらった百科事典の様に、それはまだらに消え去ろうとしているのです。
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