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経過観察

先日の第22回日本脳ドック学会でも話題になった「未破裂動脈瘤の治療」。「未破裂」ではなくて「非破裂」がホントだろうなんて話題もさることながら、5mmΦまたは7mmΦの動脈瘤をどうするかという議論でした。国立病院機構九州医療センターの岡田靖先生の云い方を受け売りするならば、7mmΦ未満の未破裂動脈瘤が破裂する確率は「福岡ヤフオク!ドームで、一試合に1本だけ打ったファールボールに当たる確率」で、ないわけではないけれどきわめて奇跡に近い値だそうですし、それがたとえ破裂動脈瘤の好発部位だとしても小さければ破れる確率は1%を切るのだとのことです。それが5mmΦ以下であれば0.5%の破裂率ではあるけれど、その中に大きくなるモノは必ずあるということ。また、破裂率は年を経るとともに直線的に増加するのではなく、発見された直後の数年にアップしたあとは横ばいになるのだということもシンポジウムを聞いて知りました。

ただここで問題なのは、「経過観察」・・・確率論は重々承知の上でも、そこに存在することを見つけてしまうと人間は不安になります。破れてしまえばくも膜下出血ですから命に関わります。知らなければやりたい放題の人生だったかもしれないのに、知ってしまって、小さいからまだ大丈夫、と云われても、大きくなるかもしれない爆弾をずっとアタマに抱える憂鬱さ。実診療のもとで、「経過観察」が手術に回る場合に一番多い理由は、径の増大ではなくて、「親戚や同僚などの身近な人が破れて亡くなった」などだということ・・・当事者の葛藤が分かります。

担当医師にとって「経過観察」は最大の妥協であり妥当な落としどころだという気がしますが、当事者にとって「経過観察」は生殺し・・・それは、自らが当事者になったときに初めて分かるものなのかもしれません。

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