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形容詞

高校1年の夏、学年全体の林間学校みたいなのが阿蘇でありました。県内あちこちから集まってきた者たちが一堂に会して一緒に共同生活をする活動です。

夜の国語の授業かなにかで、先生が聞きました。「思いつく形容詞を云ってみなさい」・・・フロアに座る生徒たちに端から順番に当て始めました。「美しい」「楽しい」「悲しい」・・・想定内の回答が並ぶ中で、一人の男が、「よだきい」と叫びました。みんながドッと笑いました。「ああ、『よだきい』ね。大分が誇る代表的な形容詞やね」と先生が引き取りました。そうしたら、となりにいた男が「しちくじい」と云いました。また、みんなが囃し立てました。続いて「せちい」「げさきい」・・・続々と出てくる大分方言を、苦笑いしながら先生が板書していきました。

そんな光景を傍で眺めながら、わたしは唖然としておりました。普通の進学校の授業で、「形容詞を並べろ」と云われたときに、こんな方言が「形容詞だ!」ということに気付いた上でもっと他にも数ある単語の中からあえてこれを選ぶセンスに感動し、自由にそれを口にする勇気に驚いておりました。悪乗りしただけ、と云われればそうかもしれないけれど、ガチガチに固いアタマで物事を「こうあるべき」と一方的に考えてきた自分にショックを与える”事件”でした。

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