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だから何?

循環器内科で働いていたころ、毎年大きな学会に演題を複数題出すのがノルマでした。忙しい診療の後や週末などを利用して、膨大な数のカルテや検査資料をまとめて、学会発表し、論文にするのです。まあよくぞがんばったものだ!と、若き日の自分をほめてあげたいくらいです。

毎年、年度初めに研究テーマをボスと話し合います。前もって自分がやってみたいと思う内容をプレゼンし、それに取り組む価値があるかどうかを討論します。これが終われば、後はただただがんばるだけなのです。この話し合いのときに、ボスがよく云っていたことば、「だから何?」。その研究をやったとして、それで何かの結論が出たとして、それは何の役に立つの?それから普遍的な結論は得られるの?得られるとして、それによって患者さんはどんな恩恵を受ける可能性があるの? 学問的に面白いかもしれないけれど、患者さんや臨床現場に役に立つ結果でなければ、ただの自己満足でしかない・・・それが彼の確固たる持論であり、哲学でした。毎年のことですが、いつもそれを云われてグーの音も出ない状態になっておりました。

先日のCareNet.comで「腎臓結石の女性は冠動脈疾患のリスクが有意に増大する」という記を読んでいて、「だから何?」とつい口走ってしまい、そのときになぜだかむかしのことを思い出した次第です。

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