甲状腺腫
「甲状腺機能低下症で内服治療を受けています」とか、「甲状腺腫で定期的に受診をしています」とか云うヒトに、「で、実際に甲状腺自体は大きいのですか?」と聞くと、大部分の返事があやふやです。「はい。診察の度に『大きい』と云われています」と答えるヒトもいます。
甲状腺はホルモンを産生する臓器で、のど仏の上に蝶ネクタイの様に乗っかる形で存在しています。普通、診察などでのど仏辺りが大きく膨らんで見えるときに「甲状腺が大きいのではないか?」と判断して精査の指示を出すわけですが、この時点で甲状腺が大きいのかどうかわかりません。単純にのど仏が大きく飛び出ているヒトや、この部分の皮下脂肪が多いヒトでも、同じように見えるからです。また、甲状腺機能亢進や機能低下症の治療中だからといって、必ず甲状腺が腫れているとは限りません。さらに良性腫瘍で一番多い「腺腫様甲状腺腫」は、甲状腺の中にできた良性のこぶですが、これがたくさんできていても別に見た目が大きくなったりはしません。つまり、「甲状腺腫」とは「甲状腺にできたこぶ」のことで、「甲状腺腫大」とは違うのです。
多くの場合、単純に「甲状腺の治療中」とか「甲状腺の経過観察中」とかいうヒトも、のど仏辺りは見た目大きくありません。なのに、診察しながら「実際に甲状腺は大きいのですか?」と聞くと、みんな「はい」と簡単に答えるので困ってしまいます。何もかもが混同されているみたいです。
甲状腺が大きいかどうかは甲状腺の超音波検査などを受けないと分かりません。だから甲状腺云々で指摘を受けたら是非専門医を受診して、超音波検査をしてもらってください。そして自分の甲状腺の見た目はどんなものなのか、ちゃんと説明してもらってほしいと思います。
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