「新型うつ病」による混乱・誤解で暫定的コンセンサス
7月19〜20日に北九州市で第10回日本うつ病学会総会が開催され、このときのシンポジウムで「いわゆる『新型うつ病』に対する学会見解を目指して」というのが行われたという記事をMTPro(2013.7.23号)で読みました。本来医学用語ではない「新型うつ病」という名前が独り歩きし、社会の各所に波紋を投げかけていることに対して、学会としてのコンセンサスを得ようというものです。現状として、「新型うつ病」は排除することなくきちんと鑑別診断し,職場や産業医との連携を強化するなどして対応すべきとの見解で一致した、とありました。以下、MTProに書かれていたことを羅列してみます。難しいことも書かれていますが、興味のある方は是非ご一読ください。まあ、結局なんだかよくわからない、というのが正直な感想ですが。
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●「新型うつ病」の特徴は,「そもそもうつ病に特有なものなのか」と疑問も呈し,「現代の若年者に共通する一般的な特徴ではないか。なんらかの原因で精神的な不調に陥れば,これらが強調されることはありうる」と続けた。「したがって,こうした特徴をもって一くくりにカテゴリー化することの意義は乏しい」と述べた。(九州大学大学院人間環境学研究院実践臨床心理学教授の黒木俊秀氏)
●かつてある種の美意識が認められていた悲哀・喪失感情や抑うつ気分が否定され,外向的で積極的な性格のみが肯定的に捉えられる風潮が生まれた点にも言及。「新型うつ病」は,こうした社会に生きる若年世代の「非特異的な援助希求行動として捉えるべき」と主張し,診断学上の議論は可能としながらも,治療対象から除外する考えには反対の立場を表明した。(筑波大学社会精神保健学教授の斎藤環氏)
●「最近のいわゆる『新型うつ病』は社会的修飾を受け過ぎており,“野生の”あるいは“無垢の”うつ病はほとんど存在しない」として,「ファーストラインから薬物療法を除外し,休養ならびに生活習慣の指導から開始する」と提言する。(同上)
●たとえ精神医学用語ではないからといって,「新型うつ病」と呼ばれる病像を呈する人たちを切り捨てるのではなく,さまざまな精神疾患の可能性を考慮しつつ治療介入していくという姿勢が大事である。(産業医科大学精神医学教授の中村純氏)
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