肥満期間は心筋梗塞リスクを高める?
<肥満期間が長いと冠動脈心疾患リスクは増大する?>という記事がCareNet.comで配信されました。JAMA2013.7.17号掲載の報告だそうですが、若いころから太っていて肥満期間が長いほど、心筋を栄養する血管(冠動脈)の石灰化が強くなり、中年期以降の冠動脈心疾患リスクの増大につながるというものです(Jared P Reisら、 米国・国立心肺血液研究所)。
この記事を見る限り、その機序についてはあまりくわしく書かれていません。でもわたしはこれを読みながら、先日の第13回日本抗加齢医学会総会のランチョンセミナーで徳島大学の佐田政隆先生が「血管周囲脂肪組織などの異所性脂肪が動脈硬化を助長する因子になるのだ」と話されたことを思い出しました。冠動脈などの血管周囲にある脂肪組織が肥大すると、肥満度(BMI)とは関係なく血管内皮機能を悪化させて動脈硬化を起こすのだそうです。本来、脂肪細胞は動脈硬化を抑えるホルモンを出す臓器ですから、血管の表面の脂肪をはぎ取ると血管は障害を受け、やせた小さな脂肪細胞をその血管に張り付けると機能が改善します。きちんと皮下脂肪がある女性よりもやせすぎて皮下脂肪のない女性の方が危険だと云われる所以です。ところが、血管に肥大した脂肪細胞を張り付けると、何もないときよりも返って機能が悪化した、という実験結果を見せていただきました。
内臓脂肪が蓄積したとかしないとか云うグローバルな世界だけでなく、血管周囲の局所でも余分な脂肪がくっつくと直接炎症反応を引き起こして、その炎症が続くために動脈硬化が徐々に進んでいくという事実が、この記事のおかげでやっと理解できました。糖化ストレスもそうですが、長期間の曝露は必ず将来のツケを残す。だから若いうちからの節制が大切!・・・わかってます。わかってますけど、当事者にそれを実感させる方法は、ありましょうかしら?
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